大津市「いじめ防止条例」案の拙速な提出は許されません
          2013年2月8日 日本共産党滋賀県委員会いじめ問題委員会
 
 2月19日から開かれる予定の大津市2月市議会の冒頭、「大津市いじめ防止に関する条例案」が議員提案され、採決されようとしています。これまでの経過に照らし、あまりにも市民を無視したものです。
 条例案へのパブリックコメントは、意見の人数でも件数でも、大津市の過去最多となったように、いじめ問題やその解決への市民の関心は高く、全国からも注目されています。
 市議会は、昨年11月5日を締め切りとして求めたパブリックコメントへの回答を、ようやく本日8日、市議会ホームページに掲載したばかりです。
 回答は、多数の部分修正をおこなうとしています。これは条例案の検討が不足していたことを端的に示すものです。その原因は、条例案の検討が非公開で、市民の意見を聞いたのは、パブリックコメントだけ、という非民主性からきています。
 また回答は、提出された意見をすべて示し、回答をしているとは思われません。示された意見への回答も、すれ違い、回答できていない意見も多くあります。
 大津市のいじめ問題を調査してきた市の第三者調査委員会は1月31日に、調査報告書を市に提出したばかりです。調査報告書は、膨大で詳細にわたるもので、調査報告書の成果を条例に生かすための検討には一定の時間が必要です。調査報告書の内容は、条例案と整合していません。
 ところで市民には、条例案を評価する前提ともなる調査報告書は公開されていないに等しい状態です。
 市は、調査報告書を、報道機関や市議会にも、一部マスキング(墨塗り)してしか公表していません。市のホームページも、調査報告書の第V部だけしか掲載していません。
 市民は調査報告書の内容を知りたいと思っても、ほとんど報道で知るしか方法がありません。しかしその報道、マスコミの在り方を、調査報告書は、この中できびしく批判しているのです。
 その事情は、いじめ防止条例そのものでも同じです。
 市議会が市民に意見を求め、市民の関心が非常に高いことが明らかなのに、修正した条例案の全文は公表されていません。市民は、パブリックコメントをホームページで探し出し、その回答の中をたどるしかありません。
 これでは情報を市民に示さないまま、条例策定を強行するということになります。それで、子どもを含め市民すべてが責務と役割を負うという、「いじめ対策条例」をつくったと、全国に発信できるのでしょうか。
 条例案に賛成、反対の考え方が違っても、すくなくとも情報を公開し、公聴会を開催すべきです。賛成議員の多数を頼んで条例策定を強行するようなことは許されません。