■知事に新年度予算と県政運営について申し入れ(2015年1月30日)

 日本共産党は新年度県予算と県政運営について三日月大造知事(写真左)に申し入れ、奥谷和美県委員長が「安倍政権の悪政から県民のいのちと暮らしを守る防波堤の役割を」と県政運営に求めました。坪田五久男県国民運動部長のほか、県政問題担当の、ふしきみちよ、きのせ明子、藤井みえ子、松本としひろの各県議候補などが参加しました。

 ふしきさんは、国保料の一人1万円の引き下げ、被爆70年のことしに反核平和の県宣言を、きのせさんは若者の雇用問題に県が乗り出すことや消費税問題を、藤井さんは、子どもの医療費無料化制度の拡大、特別支援学校の新設を、松本さんは、地域経済を疲弊させている農業の振興策とTPPからの撤退、原発の廃止での県の努力をもとめました。

 知事選をたたかった坪田さんは、知事に「原発からの卒業を」「TPP反対県民会議へ参加して、北海道のようにオール滋賀でたたかおう」と一致できる点での協力、共同を求めました。

 三日月知事は、「しっかりうけたまわりました。いろいろなご意見を聞かせていただくことは大事だ」とのべました。そのうえで、前日にも2万人の父母らの署名が提出された特別支援学校新設について、共学も大切だとしつつも、「安全対策を講じなければならない。滋賀ならではのことを考えたい」、原発問題では「何が起きるかわからない。関西広域連合も再稼働はやめてという声があり、それを守る」、暮らしの問題では「ちまたの景況感はきびしい。県として有効な手立てをとりたい」などとのべ、「私も赤旗新聞を読んでいる。国会議員のみなさんもたくさんおられる。ぜひまた意見を交換したい」と応じました。

 日本共産党の予算要望は次のとおりです。


三日月 大造 知事 様

   2015年度滋賀県予算案編成と県政運営に関する要望書

                        2015年1月30日
       日本共産党滋賀県委員会
               委員長                奥谷 和美
               副委員長・県政対策委員長   節木 三千代
               県国民運動部長          坪田 五久男
               県雇用対策委員長・大津市議 黄野瀬 明子
               草津市議団長           藤井 三恵子
               湖東地区県政対策委員長   松本 利寛
               長浜市県政対策委員長     杉本 敏隆

 実質賃金17カ月連続の減少、史上初めての2000万人を超える非正規雇用などという政府調査にも示されているように、働く人の賃金減少や消費税8%への増税による内需の冷え込み、原材料の高騰による中小零細企業の経営悪化は、県内でも景気の悪循環を強めています。国民、県民の不安と危機感はきわめて大きくなっています。

 県民の不安と怒りは、安倍内閣の政策全体からきているものです。さらに消費税の10%への再増税、原発の再稼働容認、「海外で戦争する国づくり」への動きなど、大多数の民意を踏みにじる、暴走というべき強行手法が不安に拍車をかけています。

 さきの総選挙でも、アベノミクスの破たんを正面から問い、国民、県民の立場からの具体的対案を示した日本共産党が画期的な躍進を果たしました。これは安倍政権による政治から、国民、県民の暮らしと営業、安全と安心を守る課題の重要さを鋭く示したものと考えます。

 滋賀県の新年度予算編成と県政運営には、圧倒的多数の県民の思いを直視し、県民の命と暮らしを守るべき自治体として、暮らしと営業を守る「防波堤」の役割を抜本的に強めるべきです。

 この立場から、来年度県予算編成と県政運営に関わる主要な事項について、以下の通り実現を求めるものです。

1)県民の暮らしを守り、希望につなぐ緊急対策

  ① 経済弱者ほど重く、地域経済に死活的な打撃となる消費税10%増税に反対し、消費税に頼らない税制改革を国に求めること。

  ② 高すぎる国民健康保険料(税)をひとり1万円引き下げるよう、市町の住民負担軽減の努力を支援すること。また、国民健康保険料(税)を引き下げる市町の努力を排除する国民健康保険の「一元化」に強く反対すること。

  ③ 子どもの医療費無料制度を当面、現在の就学前から中学卒業まで拡充すること。県内でも高校卒業まで無料化した自治体が存在しており、これまでの就学前無料の自治体の制度拡大を緊急に実施すること。

2)安全と安心の暮らしを守るために

  ① 高浜原発、大飯原発など、すべての原発の再稼動に反対し、廃炉にする政治決断を国に求めること。

  ② 再生可能エネルギーの爆発的普及のために、太陽光発電をはじめバイオマス発電など、再生可能エネルギー利用のとりくみを支援し、地域の発展につなげること。

  ③ 再生可能エネルギー利用の発電電力の買い取りを継続するよう国や電力事業者に求めること。

  ④ 原発の再稼働を迫る関西電力の電気料金大幅引き上げに、県として反対すること。

  ⑤ 高島市での放射能木くず不法投棄事件の経緯を明確にすること。また国にたいし、放射性廃棄物と一般廃棄物の基準を明確にするよう求めること。

  ⑥ 核燃料最終処分場は県内に適地はなく、また琵琶湖を汚染から守るべき滋賀の特殊性からも、建設に反対すること。

  ⑦ 県の原発災害「避難計画」は、実際には実行不可能なものであり、国の責任を明確にして、再検討すること。
  ⑧ 日本を「海外で戦争する国」にする集団的自衛権行使を認めた閣議決定の撤回を政府に求めるとともに、関係法令の制定に反対すること。

  ⑨ 被爆七十年の今年こそ、県として核兵器廃絶・平和宣言をおこない、核兵器廃絶の平和の行動と連帯する立場を示すこと。

  ⑩ 饗場野自衛隊演習場などでの日米共同訓練や、危険なオスプレイ訓練に明確に反対すること。

3)災害から県民の命を守り、琵琶湖を守るために

  ① 根拠のないダムの「安全神話」をただし、住民の納得を得ながら防災、治水対策をすすめ、災害から命を守る地域力を高めること。

  ② ダムに頼らない河川整備計画をすすめ、大戸川ダム、丹生ダム、北川ダムもきっぱり中止すること。

  ③ 琵琶湖の水位管理を合理的に検討し、琵琶湖周辺の冠水被害をなくすよう国に求めること。

  ④ 琵琶湖の環境と生態系を守る事業を抜本的に強化し、国に負担を求めること。外来生物の侵入を住民とともに対応しつつ、国に規制強化を求めること。

  ⑤ 土砂災害の危険区域の指定基準を見直し、戸数の少ない地域も含めること。

  ⑥ 土砂の埋め立てを規制する県土砂条例をつくり、市町と共同して地域の安全を守り、琵琶湖の環境を守ること。

  ⑦ 琵琶湖の放射能汚染は短時間に拡散するという県の評価を再検討すること。

4)地域経済を守るために

  ① 農業をはじめ、医療、雇用など広範囲にわたり県の地域経済に大打撃となり、県や市町の施策も壊されるTPP交渉からの撤退を国に強く求めること。

  ② 米価の暴落の影響を緩和し、作付けを支援する体制を県としてつくり、米づくり農家の経営を守り、農業の多面的価値を守るためにも、米の需給調整に責任を持つよう、国に強く要求すること。

  ③ 消費拡大のカナメとなる、働く人の最低賃金を時給1000円以上に引き上げるよう国に求め、また、賃上げを求めるとともに、中小零細企業には賃金助成や社会保障料減免を国に求めること。

  ④ 経済波及効果が大きいことが実証済みの住宅リフォーム助成制度、また商店街リフォーム助成制度を、県の制度として実施すること。

  ⑤ 公契約条例を創設し、県発注の仕事が、労働条件、賃金水準を適正に改善し、住民サービスの質を高めるようにすること。

  ⑥ 誘致企業には企業として当然の社会的責任を果たすよう求め、県などの助成金を受けながら、地元雇用なし、リストラ解雇、企業撤退という事態をなくすこと。

  ⑦ 県中小企業活性化条例を生かし、県経済の主役として、また地域文化を支えている中小零細企業への支援策を実行すること。

5)はたらくルールの確立した社会、職場をつくりあげるために

  ① はたらくルールを確立し、労働環境を守ること。若者を使いつぶすブラック企業、ブラックバイトなどは、関係機関と連携を強化して是正を求めること。また、県として「ブラック企業規制条例」をつくること。

  ② 非正規雇用の正規化をすすめること。非正規労働のまん延が、正規労働者の賃金を押し下げ、女性の社会的地位を引き下げていることを重視し、是正すること。県職員の正規雇用化をすすめること。

  ③ 女性や非正規労働者などへのセクハラ、パワハラ、マタニティハラスメントなどを一掃するために、相談窓口を多様な形で広げ、窓口の機能と権限を強めること。

  ④ 人間らしくはたらく権利を学べるよう、関係機関と連携して、高校などで「労働出前講座」を実施すること。

  ⑤ 障害者雇用をすすめること。法定雇用を守る指導を強め、県自身が達成すること。

6)福祉・介護・医療を守り、「福祉の滋賀」を再生するために

  ① 滋賀県内で数千人規模になっている保育園や特別養護老人ホームの待機者を処遇できるよう、民間もふくめ施設の新増設をすすめること。

  ② 保育園や子ども園に、県独自で保育料や保育基準をつくり、保育料の大幅値上げを押さえ、保育をもうけの対象にすることを規制すること。

  ③ 介護保険を拡充し、改悪に反対すること。保険料や利用料の引き上げやサービスからはずす改悪をやめるよう国に求めること。県が支援できる体制をつくり、お年寄りの尊厳を守り、家族の負担軽減をはかり、希望する家族が働き続けられるようにすること。

  ④ 高齢者に差別と高負担を押しつけている後期高齢者医療制度を廃止するよう国に求め、県として、お年寄りの医療費無料制度をつくること。

  ⑤ 医療費の窓口負担の軽減とともに、医療報酬の抜本的引き上げを国に強く求め、産科、小児科などの医師、看護師の確保、地域医療の崩壊をくいとめること。

  ⑥ 国民保険料(税)などの滞納整理第一の対応を、生活支援の強化に改め、保険証とりあげや、児童手当などの「差し押さえ」を根絶すること。2013年1月の鳥取地方裁判所児童手当振込み預金差し押さえは違法とした判決を行政に生かすこと。

  ⑦ 生活保護は、憲法で保障された権利として改善すること。保護を求める人に、親族の援助や、病気の申請者に労働を強要する窓口対応をあらためさせること。

7)教育をまっすぐ伸ばすために

  ① 児童・生徒数が急増している特別支援学校の分離・新設を早急にすすめること。特別教室の転用や増築では、子どもの教育も安全も守れず、職員会議の規模も過大で、国に適切な設置基準を求め、当面は県独自の基準を定めること。

  ② 財政の大きな負担となる高校統廃合は、関係者の意見をよく聞き、中止を検討すること。第2、第3の高校統廃合の押しつけはやめること。

  ③ 幼稚園や小中学校の統廃合は押しつけをやめ、児童・生徒、父母、住民の希望を生かすよう指導すること。

  ④ 全国的に見ても少なすぎる県の教育予算を増やし。教育環境を改善すること。県立学校の教室のクーラー設置や電気料金が父母負担で、授業時間は使わせないなどの運用も改めること。

  ⑤ 少人数学級を高校まで実施すること。教職員の確保は正規雇用ですすめること。

  ⑥ 中学校給食を拡大すること。自校方式の調理場建設や食材の地産地消など、地域の経済振興につなげる努力に支援すること。

  ⑦ 県の大学・高校などの奨学金貸与制度を抜本的に改善すること。納付に間に合わない貸与開始を改善すること。延滞金利息の10・75%は抜本的に引き下げること。返還しなくてもよい給付制の奨学金をめざすこと。

  ⑧ 私学助成を増額すること。

  ⑨ 学童保育の運営と施設改善への助成を拡大すること。

  ⑩ 住民に信頼される教育委員会に改革すること。憲法と子どもの権利条約を守り推進する立場で、住民の願いにこたえ、教育への識見と専門性を備えた自主的で信頼される教育委員会をめざすこと。教育委員会の「解体」や、政治介入をきびしくいましめること。

  ⑪ いじめ・体罰の根絶に全力をあげること。子どもの訴えを受け止めることのできる教育条件を整備し、子どもたちの自主的、自治的な行動を支援し、地域に支えられる学校づくりをめざすこと。

  ⑫ 過酷な競争教育をさらに強める全国一斉学力テスト廃止を国に要求すること。当面、学力テストの結果は公表しない立場を厳守すること。

  ⑬ 国が教育の場に「愛国心」など特定の価値観を持ち込むことに反対し、子どもたちに普遍的な市民道徳を身につけられるようにします。

  ⑭ 滋賀の国民体育大会で、天皇杯獲得を目標の第一に掲げることや、選手養成のために無理な教員採用や異動はやめ、特定の年齢や能力の子どもを「ターゲット」とするやり方もやめること。県民のスポーツ権の拡大、施設設備や県内配置、その他を目標とすること。

8)ムダな事業をなくすために

  ① 新幹線新駅の誘致はしないこと。

  ② 関西広域連合の整備新幹線・北陸新幹線「米原ルート」案は再検証すること。

  ③ 大企業やベンチャー企業誘致の優遇策は見直し、企業誘致奨励金制度は廃止すること。

  ④ 国民体育大会の開催は、「滋賀の未来に負担を残さない」目標を追求すること。最大規模の式典動員などは見直すこと。

  ⑤ 同和事業は廃止すること。部落解放同盟など特定団体の集会などに県職員の動員や支出はいっさいおこなわないこと。

9)住み続けたい「ふるさと」を守るために

  ① 「平成の大合併」で広がった住民サービスの低下を解消すること。県の窓口、医療や福祉、スポーツ・文化施設、防災対策など行政サービス縮小をやめ、県地域振興局に必要な県職員を配置すること。市町の支所機能の充実を支援すること。

  ② JRなど公共交通機関を安全で便利に改善すること。湖西線の強風による臨時停止で代行バスも出ない異常状態を解消するよう、引き続きJRに改善を求めること。

  ③ コミュニティバスなどに助成を強化すること。

  ④ 琵琶湖大橋の通行料は無料にし、取り付け道路の維持管理費は関係自治体と協議すること。

  ⑤ 県人口の推移を無視した大型開発や、人口減少を「動かしがたい現実」とするような施設統廃合は見直すこと。

  ⑥ 国の「地方創生」という、「大都市集中」「ふるさと破壊」に反対し、身近で役立つ県行政、住民自治の発展をはかること。

  ⑦ 道州制に反対し、関西広域連合のあり方、参加を見直すこと。

                                  以上