朝日新聞が「新駅凍結もったいない?」を掲載(2014年7月10日)

朝日新聞が「新駅凍結もったいない? リニア意識、地元に待望論も 滋賀知事選新幹線計画再び浮上」を掲載しました。新幹線新駅問題が、知事選の大争点であり、自民、公明両党が推す小鑓候補も、前民主党衆院議員の三日月候補も新駅推進を公約に打ち上げたものの、県民の反発を買って、トーンダウンに追い込まれていることを述べています。また知事選の3候補のうち、日本共産党が推す坪田いくお候補だけが、明確に推進を批判していることを紹介しています。以下、記事を紹介し、同時に、私たちの考えも示します。

新駅凍結もったいない?
リニア意識、地元に待望論も
滋賀知事選 新幹線計画再び浮上
(朝日新聞2014年7月10日)

 13日に投開票される滋賀県知事選で、嘉田由紀子知事が中止に追い込んだ新幹線新駅の建設が再び浮上している。県内の一部に待望論もあり、選挙を受けて動き出す可能性もある。

 嘉田知事は2006年の知事選で「もったいない」のキャッチフレーズを掲げ、栗東市に新幹線新駅をつくる計画の凍結を主張。自民、民主両党などが支援した現職を破って初当選し、中止に追い込んだ。

 今回の知事選で、自民、公明両党が推す小鑓隆史氏(47)は「『もったいない』は行き過ぎ。滋賀県はインフラ整備が停滞している」と訴える。告示日の6月26日には自民党の石破茂幹事長が県庁前で「新幹線の駅をいらないと言う人が支持を受けたこともある。でもリニアが走ったらどうなるのか」と強調した。

 地元の要望で建設する「請願駅」の場合、設置費用は原則として沿線自治体の負担となるが、新駅への期待は一部で根強い。東近江市は500万円近くかけて新駅建設の可能性を調べ、6月24日に「観光や活性化に効果がある」という検討結果を発表した。事業費は240億円と試算したが、小椋正清市長は「課題はあっても、将来を見据えて新駅は必要だ」とする。

 これに対し、共産党が推す坪田五久男氏(55)は争点化に動いた。告示直前の6月23日に記者会見を開き、「新幹線新駅よりも暮らしに予算を」と打ち出した。集団的自衛権の行使容認反対や原発即時ゼロに加え、「新駅反対」を3本柱の一つに設定。坪田氏は「無駄な公共事業推進の路線に滋賀県政が再び戻ろうとする、象徴的な問題だ」と批判を強めている。

 嘉田知事に後継指名された前民主党衆院議員の三日月大造氏(43)はJR西日本の出身で、菅直人内閣の国土交通副大臣も務めた。立候補を表明した5月の記者会見では「リニア時代に向けて新駅は必要。再挑戦する」と明言している。

 だが、1カ月間で1万人ほどの有権者と会合を重ねると、行く先々で「税金の無駄遣い」という反応が返ってきた。「嘉田県政の後継がなぜ新駅なのか」と迫られたこともあった。

 嘉田知事は12年8月の中部圏知事会議で「リニアが開通すれば新駅が必要」と語り、栗東市長の反発を受けて「配慮に欠けた」と釈明した経緯がある。三日月氏が6月17日に発表した政策集では、新駅について「必要性や負担などを県民参加で議論を開始」と表現を後退。告示後の演説では影を潜める。陣営幹部も「あえて火種になることは言わない」と慎重だ。

新幹線新駅 東海道新幹線の京都-米原間(約68㌔)にある滋賀県栗東市に新駅を建設する工事協定を2005年に県と地元自治体、JR東海などが締結。総額約250億円の建設費のうち約240億円を地元自治体が負担することとした。06年5月に着工したが、直後の知事選で嘉田知事が当選。翌07年に中止が決まった。