TPP命・暮らし危ない 滋賀・野州 考えるつどい発言(しんぶん赤旗4月17日付から)
環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐる緊迫した情勢のなか、13日に滋賀県野州市で開かれた「いのちとくらしが危ない! TPPを考えるつどい」(主催・TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る県民会議)での発言を紹介します。
国益とは国民生活と主権
滋賀県農業協同組合中央会 万木敏昭会長
国民の不安や懸念が払拭(ふっしょく)されないまま交渉が進められていることは極めて遺憾で到底納得できるものではありません。TPP交渉を主導してきたアメリカでさえも議会から交渉の情報開示を求められており、わが国も早急に十分な情報開示をすべきだと考えます。
安倍総理をはじめ政府の主要閣僚はTPPから国益を守るため、今後も交渉に当たるとしていますが、オバマ米大統領のアジア歴訪を前にして、いま大きなヤマ場を迎えているところです。23日に訪日が決まりました。これに合わせ、さらなる協力と譲歩を(日本に)迫るのは必至です。
TPPから守るべき国益とは国民の生活と日本の主権であり、決して一部の投資家や多国籍企業の利益を守ることではありません。いまが正念場です。国民の生活と日本の主権を守り抜くために、より一層連帯を深めて頑張ってまいりたいと考えています。
皆保険の財源狙われる
滋賀県医師会 笠原吉孝会長
国民皆保険制度。みんなでお金を出し合ってプールし、税金も入れて医療を守ってきました。(アメリカは)映画「シッコ」(マイケル・ムーア監督)でもおわかりのように、いかにして保険(会社)がみなさんの命と引き換えにもうけるか。基盤が全く違う。支え合ってやってきたものを、アメリカの手で壊されてはいけない。
〝皆保険制度は何とか守る″と安倍さん(首相)も言っているというような、非常に甘いムードが漂っていますが、皆保険の財源を狙ってきている。我々自身がどう行動するかにかかっています。
お金がなくなったら命の切れ目みたいなことが、「シッコ」に出てきます。それでいいのか。ごいっしょにお考えいただきたい。
食の安全・安定供給こそ
滋賀県農協青壮年部協議会 西村富佐雄委員長
私は栗東(りっとう)市で稲作、小麦、大豆、野菜を作っている専業農家です。仲間とともに長年にわたって食の安全を考えて生産してきました。
滋賀県の場合、中山間地を抱え、なかなか大変です。「これから減反はなくなる」というと聞こえはいいけど、TPPに向かって徐々に価格競争をやりやすいように持っていくのかなと。食料の安定供給は農家がなかったら絶対できません。輸入で入ってくるものが果たして安全なのか。
自信をもって作物をつくってきました。消費者のみなさまとTPPについて考えていきたい。国益を守れないTPPは断固反対ということで、青壮年部もやらせていただいていますので、よろしくお願いいたします。
地産地消は大きく後退
滋賀県生活協同組合連合会 大塚光子会長
TPP導入によって食の安全・安心への取り組みが、ないがしろにされようとしていることに大きな不安を持っています。地産地消の取り組みは、生産者のみなさんとともに作り上げてきたものです。TPPで関税の撤廃が進み、海外から安い農産物を輸入することにより地産地滑の取り組みは大きく後退するとされています。
日米首脳会談でTPP交渉の妥結に向けて、政府が政治決着を図る危険性もあり、一握りの多国籍企業の利益を優先し、経済的格差や貧困を広げ、命と暮らしが脅かされる事態は何としても避けなければならない。各分野の方々との連携を広げ、暮らしを脅かす政治に対しては、はっきりノーと言える立場を取るべきです。
TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る緊急宣言(資料)
TPP交渉につきましては、4月7日に大筋合意されました日豪EPAによって、益々加速していく懸念が強まっており、4月下旬に予定されているオバマ大統領のアジア歴訪の前に、最大の山場を迎えることが想定されます。
本日、「いのちとくらしが危ない!~TPPを考えるつどい~」に参加した私たちは、政府に対して、国権の最高意思決定機関たる国会の衆参農林水産委員会決議や社会保障制度改革国民会議報告書の内容を遵守した交渉結果を必ず実現すること、万一、決議内容を遵守できない場合には、即時、交渉から脱退することを強く要求します。
TPPは、国のかたちを一変させる極端な交渉であり、食の安全・安心、医療、保険、ISDなど、国民生活に直結し、国家の主権や文化を揺るがしかねない重大な問題を含んでいます。さらに、農林水産業に壊滅的な影響を与えるとの国民の不安や懸念が払拭されないまま、交渉が進められていることについては、極めて遺憾であり、到底納得できるものではありません。
また、こうした状況下においても、秘密保持契約を理由に政府から十分な情報が開示されないため、交渉の現場では、なし崩し的な譲歩を重ね、拙速な合意を迫られるのではないかという国民の不安と不満が渦巻いています。
今後とも、TPPから県民のいのちと暮らし、医療と食を守るための一大県民運動を県内各地域からさらに一層力強く進めることを、ここに宣言します。
平成26年(2014年)4月13日
いのちとくらしが危ない!~TPPを考えるつどい~
※TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る県民会議 県社会保障推進協議会、県栄養士会、生活協同組合コープしが、県理学療法士会、県公立高等学校教職員組合、県内農業協同組合関係団体など、計225団体などで構成。代表世話人は、県農協中央会の万木敏昭会長、県医師会の笠原吉孝会長、県町村会の伊藤定勉会長、県立大学の小池恒男名誉教授。