湖南市議会に日本共産党市議団が27日提出した「集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないこと」「特定秘密保護法の廃止を求める」2つの意見書案が即日、賛成多数で可決されました。紹介します。(2014年2月27日)
集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないことを求める意見書
日本が海外でアメリカと肩を並べて戦争できるようにする集団的自衛権の行使容認に向け、安倍首相の暴走は許すことができない。国会答弁で歴代政権の憲法解釈を真っ向から否定。”憲法とは権力を縛るもの”という原則さえ否定する露骨な解釈改憲の姿勢に、自民党内からも批判が起きている。
「最高の責任者は私だ。政府の答弁に私が責任をもって、そのうえで選挙で審判を受ける」。安倍首相は衆院予算委員会で、現行憲法下で禁止されてきた集団的自衛権行使の憲法解釈を自らの一存で変更できるとの立場を示した。
集団的自衛権とは、自国が攻撃を受けていなくても、同盟国などが攻撃を受けた場合反撃するというもの。政府は1972年の参院決算委員会に提出した資料で「我が憲法下で武力行使を行うことが許されるのは、我が国に対する急迫不正の侵害に対する場合に限られる」「他国に加えられた武力攻撃を阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と明記している。
安倍発言には自民党内でさえ、「その時々の政権が解釈を変更できることになる」「拡大解釈を自由にやれるなら憲法改正は必要ないと言われてしまう」と批判が続出。安倍首相の発言は「最高法規としての憲法のあり方を否定し、立憲主義を否定する、きわめて危険なもの」で異常さを示している。
そもそも憲法は、首相をはじめ国家権力を厳格に拘束するもの。政権が変わるたびに多数派が憲法の解釈を自由に変えることができるなら、憲法が憲法でなくなってしまう。内閣に憲法の内容を勝手に変える権限はない。国民主権の立場で国家権力を制限し、国民の人権を守るのが憲法の本質的役割であり立憲主義の原則である。このような憲法の本質に照らして、憲法の解釈は権力者の恣意に任せられることがあってはならない。
このことから政府においては、日本の「自衛」とは無関係で、なおかつ海外で戦争をする国となる集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の見直しは行わないよう強く求める。よって当市議会は、集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないことを求める。
以上地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成26年 2月 27日
湖南市議会議長 望月 卓
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 あて
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「特定秘密保護法」の廃止を求める意見書
昨年の臨時国会は、秘密保護法に反対する1万5千人の人々が国会を包囲するなか、安倍政権が、この希代の悪法を強行するという幕切れとなりました。
しかし、国民の目・耳・口をふさぎ、日本国憲法の基本原理をことごとく蹂躙(じゅうりん)する秘密保護法に反対する声は、法案が強行された後も、さらに広がり、秘密保護法の廃止等を求める地方議会の決議や意見書は、この1カ月あまりで100自治体を超えています。この通常国会は、召集日に秘密法廃止を求める人々が国会を大包囲するという幕開けとなりました。
なぜか。秘密保護法では、政府が保有する膨大な情報の中から、政府の恣意(しい)的判断によって特定秘密が指定されます。懲役10年以下の重罰とそれによる威嚇や、適性評価の名によるプライバシー侵害と権力の監視にさらされるのは、限られた公務員の特殊な漏えい行為だけではありません。国民の普通の日常とその自由が広く対象とされます。国民は何が秘密かも秘密とされる社会の中で、自分が近づいた情報の中身も分からないままに処罰されうるのです。
国民の知る権利に応えて巨大な行政機関の秘密に迫ろうとする取材と報道の自由もその例外ではありません。
しかも、特定秘密と指定されれば、情報の国会への提供さえ政府の裁量にゆだねられ、秘密会に提供された秘密を議員に話すだけで重罰をかけるなど、政府が事実上国会を縛ることにもなってしまいます。国民主権と三権分立、議会制民主主義の根幹をこわすものにほかなりません。
だからこそこの法律には、成立してからもなお、多くの国民が廃止にすべきだという声をあげ続け、その輪は広まりこそすれ、狭まることはないのです。
安倍首相は国民の声に真摯(しんし)に耳を傾け、悪法を施行する前に、自らの手で廃止することを求めるものです。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成26年 2月 27日
湖南市議会議長
望 月 卓
(宛先)
(衆議院・参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、内閣法制局長官、防衛大臣