滋賀県守山市議会は11月29日、「秘密保護法案」に慎重な対応を求める意見書を全会一致で可決しました。
特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書
今秋の臨時国会に政府から提出が予定されている「特定秘密の保護に関する法律案」では、「特定秘密」について、「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分野の中で、国の存立にとって重要な情報を対象としているが、その範囲が明確でなく広範にすぎるとの指摘がある。事実、日本弁護士連合会では、憲法に謳われている基本的人権を侵害する可能性があるとして、同法案の制定に対して反対の立場を明確にしており、また、わが国が直面している原子力発電所事故に関しても、原発の安全性に関わる問題や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテロ活動防止の観点から「特定秘密」に指定される可能性がある。
3・11東日本大震災時の東京電力福島第一原子力発電所事故の際には、放射性物質の拡散予測システムSPEEDIの情報が適切に公開されなかったため、一部の住民がより放射線量の高い地域に避難したことが事後に明らかになるケースがあった。
このような国民の生命と財産を守る為に有益な情報が、公共の安全と秩序維持の目的のために「特定秘密」の対象に指定されてしまう可能性がある。
今、重要なのは徹底した情報公開を推進することであり、刑罰による秘密保護と情報統制ではない。「特定秘密」の対象が広がることによって、主権者たる国民の知る権利を担保する内部告発や取材活動を委縮させる可能性を内包している本法案は、情報掩蔽を助長するおそれがある。もし制定されれば、民主主義を根底から覆す瑕疵ある議決となる危険性をはらんでいる。
国民の多くはまだ法案の中身をほとんど知らず、十分な説明と審議を求めているという世論調査結果であり、議決ありきの現在の状況は看過することはできない。
よって、国においては、特定秘密保護法案に対し極めて慎重な議論と説明責任を果たしていく対応をするよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年11月29日
滋賀県守山市議会議長 中野 隆三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣府特命担当大臣 宛