国会決議を守り、TPP交渉から
ただちに撤退することを求める意見書
境太平洋経済連携協定(TPP)は、年末の最終合意を目指して交渉が進められています。
TPPへの参加が、日本の農林漁業・食の安全・医療制度・保険など国民生活全般に深刻な影響を及ぼし、かつISD条項は国家主権を揺るがす重大問題であることなど、多くの問題点が浮き彫りになってきました。
こうした中で、TPP交渉参加に関する国会決議では、米、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物(サトウキビ・テンサイ)などの重要5項目が守れない場合は「脱退も辞さない」としています。
ところが、TPP交渉にあわせてインドネシアを訪問している自民党の西川公也TPP対策委員長は、「(農産品の重要5項目を関税撤廃の例外から)抜けるか、抜けないか、検討させてもらわなければならない」、「どんな小さな状況(の変化)も勘案しない姿勢を取り続けられるかという問題がある」(6日、記者団に)と発言。重要5項目の関税撤廃の検討に踏み込みました。
政府も「西川氏とすれば当然の発言だろう」(菅義偉官房長官、7日)、「5項目の中で『これはどうしても』という項目を、最悪のことを考えておくのは当然だ」(麻生太郎副総理、8日)と関税撤廃の検討を当然視しています。
TPP交渉をめぐり、日本の政府・自民党が、これまで「守るべきものは守る」と公約してきたコメや乳製品など重要5項目で譲歩する姿勢を見せていることに、「公約まで投げ捨てるのか」と強い怒りが広がっています。
安倍晋三首相は、TPPの参加表明会見で「国民への丁寧な情報提供」を約束し、交渉に参加すれば情報が入手しやすくなる」と発言しました。
ところが、交渉参加のマレーシア会合で秘密保持契約への署名をし、その後政府は、交渉経過はいっさい公開できないとして、日本政府がどういう提案をしているのかさえ、いっさい明らかはしていません。「国民への情報提供」という約束を反故(ほご)にして、秘密裏にどんどん交渉を進め、結論だけを問答無用で押し付けるなど言語道断、断じて許すわけにはいきません。
私たちは、こうした国民をないがしろにした政府に抗議するとともに、TPP交渉からの即時撤退を要求します。
以上、農業委員会等に関する法律第6条第3項の規定により提出します。
2013年10月10日
内閣総理大臣
衆議院議長
参議院議長
農林水産大臣 様
滋賀県長浜市農業委員会 会長 吉田 一郎