■原子力規制委員会のもんじゅ再開中止指示と専門家チームによる敦賀原発2号機の活断層断定評価について(2013年5月16日)
原子力規制委員会が15日、日本原子力研究開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運転再開準備の中止指示を命令することを決定しました。
また規制委員会の専門家チームは、日本原子力発電の敦賀原発(福井県敦賀市)の2号機直下を通る破砕帯を活断層と断定する評価書をまとめ、規制委員会として廃炉とする可能性が高まりました。
日本共産党は、建設計画時から「『もんじゅ』は未完成の技術」をと反対し、旧・動燃事業団の時代から、また、1995年のナトリウム火災事故でその指摘が明白になったことなど、事故のたびに、県の対応もふくめ、「もっとも危険な原発の一つ」として廃炉を要求してきました。
敦賀原発2号機も、全国すべての原発を即時ゼロとする政治決断を強く求め、原発再稼働、原発輸出まで推進する自民党・安倍内閣とたたかう決意を表明します。
「もんじゅ」は、毒性が極めて強いプルトニウムを燃料に使い、「プルトニウムをいかに効率よく燃やすか」の、「効率第一」で、しかも管理はあまりにもずさんです。
約6000億円をかけて建設されたものの、運転開始直後にナトリウム漏れ火災、2010年には重さ3トンもの部品を炉心に落下させるなど、事故の連続で、現在停止中です。
「もんじゅ」が使う冷却剤のナトリウムは、水や空気に触れると爆発し、原子炉が停止中もナトリウムをヒーターで温め続けなければならず、いまも大量の電力を消費し続けています。
昨年2012年11月には、点検期間を過ぎた機器約1万件を点検せず放置するという違法状態だったことも発覚しました。
15日の規制委員会会合では委員から、過去6回の事故のたびに「根本原因分析」を求められてきた日本原子力機構なのに、「作文をしてその場しのぎをしているとしかいいようがない」「こういう組織の存続を許していること自体が問題だ」「専門家集団が運営していると信じていたのに、対応を見ていると、真剣に受け止めていると思えない」「専門家として恥ずべき行為」という発言が相次ぎました。
こうした議論の末、「安全を最優先とする方針を明確にしていない」「安全文化の劣化」「法的違反状態は是正されていない」と指摘したのです。
原子力機構、旧・動燃事業団の安全軽視、事故隠し体質は当初からです。
旧動燃は滋賀県に事故の際の緊急連絡体制を約束していましたが、ナトリウム漏れ事故のときには約3時間半後、夜間で無人の滋賀県庁にファクス送信しただけでした。
抗議を受けて動燃は「ただちに」改善すると約束しましたが、1997年の重水もれ事故では約36時間後。報道で事故発生を知った住民の抗議が県や地元自治体に相次ぐありさまでした。
「もんじゅ」について、規制委員会の決定は「安全管理体制の改善・見直しまで再開を認めない」というもので、廃炉すべきとまでは言い切っていません。日本共産党は、「もんじゅ」廃炉を目指してがんばります。
いっぽう、原子力規制委員会の専門家チームは、日本原子力発電の敦賀原発(福井県敦賀市)2号機の直下の破砕帯(断層)を活断層とする評価書をまとめました。
原発敷地内の破砕帯調査では初の評価書です。活断層の上に原発建設は認められておらず、ただちに廃炉とすべきものです。
日本原子力発電は、この評価に対し、「科学的、合理的な判断と言えない」として、増田博副社長が原子力規制庁に「不適切」だと抗議文を提出しました。しかしこの抗議はまったく道理のないものです。
専門家チームでは、半年の調査でまだ調査データ不足だという発言も出てはいます。しかしデータ不足は、日本原子力発電が建設当時の資料を保存していなかったこと、ぼう大な報告書を会合当日に提出するなど、審議の進行を妨害するために、さまざまの「圧力」を加えてきたからです。
問題の2号機直下のD−1破砕帯は、大規模なトレンチ(調査用の溝)を掘り、現行指針で活断層と認める12〜13万年前以降に活動した可能性が否定できない断層だと結論したものです。日本原電が活断層を否定する理由をあげたことに、「信頼性がかなり低い」「判断できるデータが提示されていない」という判断で一致したのです。
読売新聞などのように、施設があるため活断層の調査には制約があったことをあげ、「科学的な厳密さという点では疑問も残った」と「解説」し、「『活断層』との結論は拙速だ」と「社説」で主張するような議論が出ています。
読売の解説や主張は、日本原子力発電の責任を棚上げし、すでに決まっていた基準について、「科学的でない」というのは、はじめからの基準について、結論が気に食わないから、だめだといいだすような、いわば「あと出しじゃんけん」というべきものです。
安全に関しては、疑いのあるものは安全性を優先するというのが、当然です。