■山下よしき日本共産党書記局長代行のいじめ・体罰をなくすための集会でのあいさつ(大要)(2013年4月6日)

 大きな社会問題となっているいじめ、体罰問題で、日本共産党大阪府委員会が6日に開いた「いじめ・体罰をなくすために 子どもと教育を語り合う懇談会」。党いじめ問題対策チーム責任者の山下よしき書記局長代行・参院議員の報告(大要)を紹介します。

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 いじめは国民みんなで解決の道を探っていかねばならない社会全体の問題です。昨夏、大津市のいじめ自殺事件が報道されて以来、党中央委員会いじめ問題対策チームをつくり、関係者や研究者に直接話を伺い、提案をまとめました。

 痛感したのは問題の深刻さです。被害者と家族の苦労は図り知れず、子どもの苦悩を代弁しようと、提案冒頭で「いじめはいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です」と打ち出しました。

 そのうえで打開のために二つのことを提案しています。
 一つは、目の前のいじめから子どもたちのかけがえのない命を守り抜く緊急の取り組みです。もう1つは、より根本的な対策としていじめが深刻化した要因をなくすことです。

 第1の柱は、全国の経験に学んで五つの方向をまとめました。

 第1は、子どもの命最優先の原則(安全配慮義務)を明確にする。第2は、ささいにみえることでも教職員と保護者が情報を共有して対応する。第3は、子どもの自主的活動の比重を高め、いじめの起きにくい人間関係をつくる。第4は、被害者の安全確保とともに、加害者の子どもたちにはいじめを反省して人間的に立ち直るまで悩みやストレスを聞き取り、寄り添う。第5は、被害者や遺族の方々の真相を知る権利を保障する--です。

 発表後、全国で反響が寄せられ、岐阜県の保護者の方から「いじめを乗り越えたこんな学校があります」と手紙をもらいました。

 いじめは確かにありますが、この手紙の学校のように乗り越えるととができるし、乗り越える過程で子どもたちはものすごく成長する。そういう経験を多くの人が知り、伝えれば、こういう方向でやれば子どもたちの命を守れるという合意をつくる力になります。

 提案では、教員の多忙化の解消など条件整備、「いじめ防止センター」設置、教育行政の数値目標化をやめる提案もしています。

 提案の第2の柱は、いじめがここまで深刻になった要因をなくしていく課題です。

 受験競争が低年齢化し、時間的ゆとりのない子どもが4割もいます。国際的な調査では、孤独を感じるという子どもの割合は日本が際だって多く、自己肯定感情が極めて低い。

 さらに、国民の間に貧困と格差が広がり、「競争万能」の考え方が社会に浸透し、人間的な連帯が弱まり、弱者を攻撃する風潮が強まり、「競争に負ける方が悪い」という「自己責任」論が広がっていることです。

 体罰について、大阪市立桜宮高校の事件は氷山の一角です。肉体的な苦痛や恐怖でいうことをきかせることは成長途上の子どものからだだけでなく心にも深い傷を残します。体罰や暴力を教育の場で行うことは絶対に許されません。なぜ体罰がいけないのか、多くの人たちと根本から考え合い、なくしていく必要があります。
                       (しんぶん赤旗2013年4月11日付)

関連資料
 いじめ問題についての日本共産党の提言