環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に
参加しないよう求める決議
安倍晋三首相は、日米首脳会談後、オバマ大統領との「共同声明」で、第一項目について『聖域なき関税撤廃』が前提でないことを明確になったとして、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に踏み出すことを明らかにしました。
TPP交渉は、21分野にもわたる交渉で、国の形を変えてしまうほどの広範囲にわたり、すべての国民に影響を与えます。だからこそ、先の総選挙で自民党は、TPPに関して次の6項目を公約として掲げました。
@政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
A自由貿易の理念に反する自動車などの工業製品の数値目標は受け入れない。
B国民皆保険制度を守る。
C食の安全安心の基準を守る。
D国の主張を損なうようなISD(投資家対国家紛争)条項は合意しない。
E政府調達・金融サービスなどは、わが国の特性を踏まえる。‥‥です。
しかし、日米共同声朋では、日本がTPP交渉に参加する場合には「すべての物品が交渉の対象とされる」と明記され、日米首脳が改めて確認したものです。首相も衆院予算委員会で、「TPP交渉の入り口で関税撤廃から除外するという担保は共同声明にはない」と明言しており、首相の「関税撤廃は前提ではない事が明確になった」との発言はごまかしとしか言いようがありません。
さらに、自民党が公約で掲げた他の5項目は、共同声明に入っておらず、安倍首相は、「大統領に5項目を話した」と言うだけのものです。
TPP交渉の特徴の一つは、徹底した秘密主義です。交渉文書や各国の提案などは、TPP発行後も4年間は伏せられたままになります。交渉に参加していない日本に、交渉の中身はわかりません。それなのに、交渉に参加しようとしたら、既に合意された内容をそのまま受け入れなければなりません。何が入っているか分からないのに丸のみするなど、国民に責任を負う政府のするべきことではありません。
長浜市農業委員会は以上の立場から、政府が、自民党の政権公約すべてを守って、TPP交渉参加を中止するよう強く要求します。
以上、農業委員会等に関する法律第6条第3項の規程により提出します。
2013年3月11日
内閣総理大臣 安倍晋三 様
滋賀県長浜市農業委員会 会長 吉田一郎