■大津市議会「いじめ防止条例」案のパブリックコメントに124件(2012年11月7日)
大津市議会が12月市議会に議員提案を計画している「大津市子どものいじめ防止に関する条例」案へのパブリックコメントが11月5日締め切られました。関心の高さを反映して、121人から124件の意見が寄せられ、これまでのパブリックコメント最多記録を倍増して記録を書き換えました。寄せられた意見のほとんどは、条例案に反対するものでした。
条例案のパブリックコメントは、条例案そのものについてホームページを探すか、議会事務局まで取りに来るように、というようなものでした。しかし大津市民は、中学生の自殺やいじめに心を痛め、条例案を入手し、読み込み、市議会にみずからの意見を寄せました。そうした市民のみなさんの行動に、日本共産党は深く敬意を表します。また、この力はかならずいじめ克服の道に通じることを確信します。さらに市民の良識が全国に発信されたことを誇りとするものです。そのうえで、市議会に、この市民の声を最大限に尊重することを強く求めます。
12日午前の市議会政策検討会議は、警察などへ条例案についての照会回答を公表してよいかどうかを確認していない、などの「理由」で、傍聴を認めない「密室協議」でした。傍聴したいと市議会にこられた市民もおられましたが認められませんでした。傍聴を認めないのは、条例案が、子どもをはじめ、保護者、広範な市民、関係団体への義務付けを含んでいることからも、まったく不当です。開かれた市議会となることを強く要求するものです。
報道によれば、寄せられた意見は「いじめられた子どもに相談を義務付けるべきではない」「子どもを追い詰め逆効果」というものや、学校への支援の必要性を訴えたものなど、条例案に反対するもの、修正の必要があるというもので、きびしい批判が示されました。この内容についても市議会は非公開にしています。
検討会議では、12月市議会に提案できるかどうかについても協議しました。また市長からの回答では「子どもへの通報義務付け」に賛成できないなどの内容だったことや、警察からも条例案への修正意見が出されました。いずれも結論は出ませんでした。
現実的には、多数の市民の意見に答えるには、市議会日程がほとんどとれないことから、一部修正も難しく、回答すること自身もかなり難しい事態です。パブリックコメントを求めておいて、議会として答えることもしないまま、提案できるかが問われる状況です。しかし、提案に固執する市議もいて、提案強行か、延期・修正かの調整となっています。市民から待ったがかけられた条例案を強行するなど、とんでもない話です。
日本共産党はすでに、条例案について市民の声に耳を傾けた結果として、条例案には賛成できないことを表明し、市議会としては、いじめをなくし、子どもを守るために何が必要か、市民の意見を聞き、その実現をはかること、また市議会として子どもの権利を守る「宣言」をと提案してきました。これには他会派からの賛成が得られませんでした。しかし、これが市民の心にもっとも寄り添った提案だったことが、パブリックコメントの結果として明らかになったのではないでしょうか。