■ TPP県民大集会に1000人超 (2012年4月22日)
「オール滋賀」は野田政権の参加表明を許さない
「絶対、NOだ!」
オール滋賀の「TPP県民会議」は22日、栗東市「さきら」で、「TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る県民大集会」を開きました。2階まで満席、ロビーのモニタで見る人など、1000人を超える参加で、政府に「国民の合意と了解のないTPPには参加しないこと」を強く要求する宣言を採択しました。
万木敏昭・JA滋賀中央会会長のあいさつ(要旨)
昨年11月に政府がTPP協議を参加表明して以来、政府から情報が何ら示されない。その中で、アメリカとの事前協議を開始し、TPPへの参加が本格的に進められようとしております。野田総理は、5月の首脳会議のさいに一気に参加表明に至るのではないかという懸念があり、TPP問題は、きわめて重要な局面を迎えております。
いうまでもなくTPPへの参加は、日本の農林水産業のみならず、国民皆保険を柱にする医療、また食の安全まで、米国の法外な要求で、日本の国益に添わない、アメリカ服従型の日本にする危険を持つものであります。つまり、日本の法律よりTPP協定の方が上位であり、さらにTPP協定よりアメリカの法律がまさる。まさにアメリカのための屈辱の協定であります。
このことを県民の命と暮らし、日本の食の安全にわたる重大な問題としてとらえ、ともに行動を起こすため、このTPP県民会議を結成したのです。結成総会では食の安全や、国民皆保険制度や地域社会の崩壊などの懸念が表明され、国民の合意と了解のないTPPには参加しないよう求める宣言を採択したところです。
TPPの問題は、ひとつの産業や業界だけの問題でなく、国民経済、国民生活全般に影響を及ぼす、国民一人一人の問題です。県民会議はこれからもTPPはいかに危険なものであるかを、県民のみなさんに広くご理解を得ていく活動をしていきます。この集会を契機に、県民のみなさんが、みずからの問題として、TPP問題の本質をご理解いただくようお願いします。
越智眞一・県医師会副会長のあいさつ(要旨)
日本医師会も参加して4月18日にTPP参加反対総決起大会が開かれ、TPPに参加すれば、わが国の医療産業を営利事業化し、すぐれた国民皆保険制度の崩壊へと導くTPP協定に断固反対すると決議しました。
医療を産業としてとらえる、これは非常にゆゆしき問題であります。医療人は決して利益を追求し、自分たちが肥え太ることを目的に医療に携わっているわけではございません。あくまでも国民、県民のみなさまが健康で、安心した生活を送って頂くために奉仕させて頂いているのです。
公的医療保険制度というのは、保険証一枚あれば、どこの病院でも同じ治療が受けられる制度です。TPPに参加しますと、民間の保険会社が、高い保険料を払うと高度な医療を受けられるといううたい文句で加入者を集めます。国民健康保険を持っている人は必要最小限の医療だけ。高度な専門的医療は民間の医療保険を使ってください。そうすると、目の前によい治療法があるにもかかわらず、その医療を受けることができない。国民の中に格差が出て参ります。格差が生じるおそれのあるTPPは、医療人としては断固として反対をしたいところであります。
ただ十分な情報がございません。情報を開示しないまま、じゅうぶんな論議がないまま交渉に入り、結果を押しつけてくるという危険性は十分ございます。
国民皆保険制度を崩壊させ、医療格差を生むTPPに、医療人として反対する決意を述べました。
日本共産党のこくた恵二国対委員長・衆院議員のあいさつ(要旨)
今日はご指名でございますので、各党の諸先輩のご了解をいただきまして、私が訴えをさせていただきます。まずなによりも、本日の県民大集会、オール滋賀の先進的取り組みに、心から敬意を表したいと思います。
いまTPP問題をめぐって、アメリカが何をねらっているか、そして野田民主党政権がどのような対応をしているのか、この客観的事実をしっかりつかむ必要があると考えています。
アメリカの議会では、「日本がTPP交渉に参加したら、アメリカの農家や牧場主、メーカーやサービス事業者がじっさいに利益を得ることになるように取り組むのか」、こういう上院財政委員会公聴会での議員の質問に対して、サーブESTR代表は「もちろんだ」と即答し、「日本が市場を完全に解放し、義務を果たすよう、これからも圧力をかけ続ける」と述べているではありませんか。
かたや野田政権は、アメリカとの事前協議の冒頭で、全品目を自由化交渉のテーブルにのせる約束をしています。ところが国民には、自由化には余地があるかのように、交渉の実態を国民の目から隠す動きをしています。だからこそ、国民に実態を知らせることが重要だと私は思います。
さきほどもお話がありましたが、私どももTPPが日本にどういう影響と打撃を及ぼすか、そのことをしっかり多くの国民に知って頂く必要があると考えています。
私の生まれは岩手県であります。あの東日本大震災の被災地、第一次産業が中心の地域において、まさにTPPを許せば被災地の復興を大きく遅らせ、打撃を与えることになる。そういう立場から反対であります。
そして第二に、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与える、なおかつ食の安全を脅かすことは明らかであります。
そして第三に、例外なき関税の撤廃がされれば非関税障壁を崩します。これらは医療、公共調達などの各分野に大きな打撃を与えます。これらはアメリカ型多国籍企業本位の経済をつくるものであって、自国の経済がまさに破壊される。これ以上、大企業や財界、そしてアメリカいいなりの政治でいいのか。今こそ転換する必要があると、私は考えます。
問題は国民がどう判断するか、国民の世論が決定的です。その点で、大手メディアはすべからく、「第三の開国」とか、さらに「国民の利益」とかいい放っています。これに対してどうたたかい抜くのかということが、私は、政党の責務であろうかと考えます。したがって、なによりも国民の世論形成に力を注ぎたいと思います。
まだTPPの問題は、反対の世論が国民の多数派にはなっていません。これを打開すべく取り組むのが私たちの責務だと考えています。
同時に、今日は(民主党の方たちは)いろいろな都合でお見えになっていませんが、しかしメッセージは寄せられているわけですから、県民会議の意向に添って、各党の内部における打ち合わせや徹底を、お互いの責任で果たしてもらおうではありませんか。
この取り組みを県民会議が呼びかけ、そしてこの県民会議の共同をいっそう深化させることが重要ではないでしょうか。
今までの垣根を越えて、共同の輪を広げたいと思っています。私は先ほど控室で共産党国会対策委員長の名刺を出しますと、共産党の名刺をもらったのは初めてだ、という方もおられましたが、それぐらい新しい広がりをつくっているのです。
私の名前、こくたというのは、穀物の穀に、田んぼの田です。穀物を滅ぼす亡穀は、国を滅ぼす亡国です。そうはさせないために、ともに力を合わせてたたかい抜こうではありませんか。おおきに。
■アメリカに屈する交渉参加表明は断じて許されない
TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る4・22県民大集会宣言
政府による「TPP」(環太平洋連携協定)への協議参加表明と交渉参加9カ国との事前協議によって「TPP」参加問題が本格的に、国民の知らないところで秘密裏に進められています。
そして、この大型連休に米国・ワシントンで予定されている日米首脳会談では「結果を求める」オバマ大統領に対して野田首相が「交渉参加入りの表明」を行うのではないかとの危惧が強まっています。
今なお、この「TPP」参加の問題をめぐっては、国民には十分な情報が提供されない中で、国内に大きな意見の違いが存在し、国民的な合意が形成されているとは決して言えない状況にあります。このような中で、一方的なアメリカの要求に屈して日本政府が「交渉参加入りの表明」を行うことなどは、断じてあってはならないことです。
すでに、事前協議のなかで、政府は「すべての品目を自由化交渉の対象とし」、「関税以外のすべての分野においても、非関税措置を含む抜本的国内措置を推進する」と米国に約束をさせられています。この、TPP参加が日本の農林水産業のみならず国民皆保険を柱とする医療や食の安全を脅かし「アメリカ型に国の形が変えられる」危険性をもつものであることは明らかです。
しかも、この協定には、アメリカの企業が事業活動を展開するうえで日本のルールに不利益なものがあれば日本政府を訴えることができる「毒素条項」といわれる「ISD条項」や協定の中身について協定締結後4年間は秘密にするという「秘密条項」が存在するという重大な問題も明らかになってきています。
こうした、重大な問題を含む「TPP」参加が国民の合意と了解のないまま進められようとしていることに対して、県内の農林水産業と医療の関係者ならびに市・町の首長および有識者の有志の大同団結により「県民会議」が結成され、この「県民会議」の呼びかけに応えて、本日ここに県内各地・各層からの参加者のもとで県民集会が開催されました。
文字どおり「オール滋賀」ともいえる「県民会議」と、この「県民大集会」に参加し、大きく成功させた私たちは、政府に対して、国民の合意と了解のないTPPには参加しないことを強く要求します。そして、県民の皆さんのいのちと暮らし、医療と食の確保と安全を守るための一大県民運動を県内各地域からさらに一層力強く進めることを、ここに宣言します。
平成24年(2012年)4月22日
TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る4・22 県民大集会
(注)「毒素条項」 「国や自治体の政策変更で損害をうけた」と、外国企業が国などを訴えることを可能にする条項。メキシコでは、環境保全のために廃棄物処分場の建設を禁止した地方自治体が、アメリカ企業から訴えられ1600万ドルも賠償させられました。大問題となっているこの条項を、アメリカはTPPにもちこもうとしています。