■訴え TPPへの暴走を許さない(2011年10月14日)
野田首相は、11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議にむけてTPP(環太平洋連携協定)への参加を決定しようとしています。TPPは、関税を原則撤廃し、農産物の輸入を完全に自由化します。日本の農林漁業が大打撃を受けるだけでなく、食の安全、医療、金融、保険、官公需・公共事業、労働など、国民生活のあらゆる分野に大きな被害が広がります。重大事態です。
農林水産省は、TPP参加で、コメの自給率は1割以下、食料自給率は現在の39%から13%に落ちるとしています。TPP参加と食料自給率の向上は両立しません。今でも農産物の関税は11・7%で、アメリカに次いで世界で2番目の低さです。日本は「鎖国」どころか、じゅうぶんに「開かれた国」です。
TPPを推進しているのはアメリカです。暮らしと経済の、あらゆる分野で「アメリカ型ルール」が押しつけられます。オバマ大統領は野田首相に、BSE対策のアメリカ産牛肉の輸入制限をゆるめるよう要求しました。アメリカは、輸入食品の検査だけでなく、遺伝子組み換えの食品表示も、残留農薬や食品添加物の規制もゆるめるよう要求しています。
それだけではありません。命と健康を守る国民皆保険の制度もねらわれています。日本医師会は、TPPへの参加で、保険のきかない医療がひろがり、お金で医療が制限され、地域医療がこわれると指摘しておられます。
小規模な公共事業も、外国企業の参入義務づけで、地元企業優先はやめさせられ、建設業界も、外国企業が安い資材や労働力で仕事を奪います。
「ただ働き残業」は野放し。派遣労働はさらに広がります。農水省は、TPP参加で340万人の雇用がなくなると説明しています。
TPPで恩恵を受けるのは一部の輸出大企業だけです。国民のなかに格差と貧困が広がり、国内での需要が引き下げられた結果が、「失われた20年」、日本経済の後退です。
TPP参加は、日本経済のまともな発展の道を閉ざします。いま必要なのは、国民の暮らしを応援して内需を増やし、日本経済の健全な発展をはかることです。アメリカ一辺倒から抜け出し、アジアを含む各国と互恵・平等の経済関係を発展させることです。
貿易でも、農業、食料、環境、労働など、市場まかせでは成り立たない分野があります。お互いの国の、国民の暮らしと権利を守るルールを尊重して、たがいに経済を発展させることがだいじではないでしょうか。
日本を壊すTPPに反対する声は、大きく広がっています。JAなど農漁業団体、消費者団体などの反対署名は1166万人に達し、滋賀県内でも10数万人が署名をされました。TPP参加反対、この一点で力をあわせ、急いで野田内閣の暴走にストップをかけましょう。日本共産党も頑張ります。