■彦根市議会の私学助成拡充を求める意見書(2011年9月22日)
「滋賀の教育日本一」をめざし、私学助成を拡充することについての意見書
これまで滋賀県においても、国公立学校と同じ学校教育法に基づく「公教育」機関として私立学校は、独自の建学の精神・教育理念に基づき、互いに切磋琢磨しながら滋賀の教育の質的向上・教育改革に大きな役割を果たしてきました。
私学教育がこれまで果たしてきた役割を特に二つあげると、第一に県内私学それぞれが特色ある教育を行ない、民主的な国家の発展に不可欠な「教育の多様性」をつくり出してきたこと。第二に幅広い庶民の教育機関として丁寧な学力育成につとめ、きめ細かな進路指導を通して「地域に貢献する社会人の育成」に努めてきたことがあげられます。滋賀県の私立学校には、いずれにもそれぞれに歴史があり、それぞれの「地域の教育機関」として、地域に根ざした重要な役割を果たしています。
しかし、私学も「公教育」の一翼を担う教育機関でありながら学費負担の公私格差は依然として大きく、私立高校生への国の「就学支援金」、及び、県の「授業料軽減助成」は十分ではありません。このままでは経済的な理由で、行きたくても私立学校に行けない子ども達や、夢をあきらめなくてはならない子ども達が多数、出てきてしまい、これでは日本国憲法や教育基本法で保障された「教育の機会均等」が損なわれてしまいます。
現在、滋賀県では、1万9千名以上の園児・児童・生徒が私立学校に通っています。高校と幼稚園では、5人に1人が私学の生徒で、私学教育は、滋賀県の教育行政の中で、無視できない存在となっているにもかかわらず、滋賀県の教育予算の中に占める私学関係予算は、わずか約3.5%しかありません。
以上の観点に基づき、滋賀県議会では、これまで4年連続で、「私学助成の拡充を求める請願」が「全会一致」で採択されています。しかし、県は「財政難」を理由に2008年に高校生一人当たり経常費助成単価を18000円切り下げたままで、かつて5万円近くあった県の上積み分は、今や6000円余りまで減少してしまっています。また、私立高校生の保護者への県の独自の直接助成予算も2010年度から国の就学支援金制度ができたのをよいことに、3600万円余り削減されてしまいました。
これ以上、「経済格差」による「教育格差」を生まないようにし、滋賀県をはじめとする日本の将来を担う子どもたちの誰もが大きな夢や希望を持って、学びたい学校で学べる社会をつくるために、「滋賀の教育日本一」をめざし、私立学校へ通う子どもたちへの学費の公私格差是正と私立学校の学費の保護者負担軽減のため、私学助成制度及び予算を計画的に改善し、現在の深刻な経済情勢に対応すべく、特に、緊急に、経済的に苦しい世帯での「保護者への直接助成制度」を拡充することを求めます。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年(2011年)9月22日
彦根市議会
滋賀県知事殿
滋賀県教育委員会委員長殿
滋賀県教育委員会教育長殿
滋賀県総務部長殿
滋賀県議会議長殿