■甲良町議会 原発からのすみやかな撤退を求める意見書
2011年9月21日
原発からのすみやかな撤退を求める意見書
3月11日に発生した東日本大震災を引き金にした東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故は、14基もの原発が集中する福井・若狭に隣接する滋賀県民・甲良町民にとって「対岸の火事」ではありません。
国際原子力機関が最高レベルの危険度と警告し、原子力発電所でひとたび苛酷事故が起きれば被害は甚大かつ深刻であることを悲惨な形で浮き彫りにしました。即ち、他の事故にはない特別危険な被害です。それは、①「避難区域」などの想定をはるかに超える汚染範囲の広大さ。②放射能汚染は幾年にもわたり、とりわけ妊婦、成長期の子供に影響し続けるという時間的被害の深刻さ。③築き上げてきた人類と自然の全て、地域丸ごとが破壊されるなど社会的被害の甚大さ--にあります。
そして、原発は、人類が完全にコントロールすることができない「未完成の技術」であることを万民に知らしめることになりました。加えて、原発を運転する限り、放射性物質を出し続ける莫大な使用済み核燃料・「死の灰」が発生し、これも人類は無害にする技術は持ち合わせず、ただ閉じ込めておくだけの対策しかないことが改めて突き付けられ、数万年にわたって「閉じ込める」保障などないことが明らかになっています。もはや、「命と共存できない原発はなくしてほしい」というのが国民の圧倒多数の世論です。
この危険を子や孫、次の世代に背負わすことはできません。とりわけ、1400万人の命の水源・琵琶湖が、福井・若狭原発の事故によって汚染されれば、福島原発事故を上回る深刻な披害をもたらすのは明らかです。また私達の甲良町では農業生産を中心に水環境を活かしたまちづくりに取り組んでいますが、もし福井・若狭原発の事故が起きれば、くらしと営業の根底が破壊されかねません。
原発からのすみやかな撤退は可能です。9月4日現在、全国の54基の内43基・約80%が停止中です。内、関西電力所有では11基中7基が停止中です。それでも使用電力が供給を上回ることはありませんでした。「安全神話」を振りまき原発増設を進め、風力発電など再生可能エネルギーの開発をさぼり続けてきた歴代政府の責任が問われます。今こそ、根本的な反省に立ち、原発推進から再生可能エネルギーへの転換を明確に決断すべき時期に来ています。再生可能エネルギーの可能性は原発54基の供給能力の40倍の潜在能力(環境省の2010年度の再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査)があるのです。
よって、次の事項を強く求めます。
記
1、原子力発電からのすみやかな撤退の政治決断を行い、撤退の期限を決めたプログラムを速やかに策定すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成23年9月21日
滋賀県犬上郡甲良町議会
議長 藤堂与三郎