■09WMG落選「ほっとした」「すでに七千万円、責任大きい」(2004年6月14日)

 国際マスターズゲームズ協会(IMGA)が14日、09年ワールドマスターズゲームズ(WMG)の開催地をオーストラリアのシドニーに決定し、開催地に立候補してきた滋賀県はデンマークのコペンハーゲンとともに落選しました。滋賀県の招致運動には「財政難を無視した知事の独走」などの批判が強かっただけに、「ほっとしたというのが実感」「すでに7000万円を投じており、責任重大」などの指摘が出ています。

 滋賀県は昨年4月にWMG招致を表明。最終選考を争っていました。IMGA事務局は同日の県の問い合わせに、落選の理由は「コメントしない」としています。

 国松善次知事は「残念な結果となったが、せいいっぱい招致に務めてきたので悔いはない。今後とも生涯スポーツの振興に努めてまいりたい」とのべました。

 県の招致活動には、各団体から「財政難を考えて辞退すべき」という強い声が出され、県議会も県の支出を押さえるよう条件をつけていました。しかし知事は「大会経費は20億円、経済波及効果は70億円」と、県経済界の応援も受けて招致に全力をあげてきました。

 IMGAは、滋賀について琵琶湖の景観が優れていることなどを評価したものの、国際規格のプールなどがなく、開閉会式の5万人が入れる施設もないなどと指摘。また、宿泊施設も滋賀で確保できず、県のいう経済効果にも「根拠があいまい」と批判が上がっていました。

 IMGAに滋賀の実情や県民の声を訴えてきた県労働組合総連合の辻義則議長は「シドニー決定と聞いて、ほっとしたというのが正直な感想です。県の身の丈にあったものかという率直な疑問は、多くの県民、県議会からも知事に突きつけられました。県民にがまんや痛みが押しつけられているなかで、数日間のイベントに20億円も投入する意味があるのか。疑問に耳を傾けず、強引に招致活動を展開した知事と県当局の責任がきびしく問われます」と感想。

 新日本スポーツ県連盟の星利三理事長は「滋賀開催とならなくてよかった。WMGに巨額のお金を使うなら、日常使えるスポーツ施設を充実してほしい。滋賀の落選は、スポーツ施設の貧困さも示したものです。WMGに限らず、県はスポーツをイベントとして扱い、参加者の怒りをかってきました。例えば、びわこ男女駅伝でも、有力選手を集めようとする結果、多くの参加者が繰り上げ出発させられています。イベント主義の反省を求めたい」と話します。

 日本共産の森茂樹県議団長は「財政ひっ迫の中で20億円余ものイベントは招致すべきでないと主張してきたものとして、今回の決定を歓迎するものです。財政危機を理由に福祉や教育の予算を削りながら、イベントには大金を注ぎ込むことや、開催権利金にかかわって70万米㌦などは大きな金ではないというような感覚で県民の税金を考える知事や副知事の発言は許されない。知事は『一生懸命頑張ったから悔いはない』としているが、すでに7000万円弱の巨費が投じられており、その責任は重い」と指摘しています。