■6つのダム見直せ(2003年7月1日)
日本共産党滋賀県委員会は1日、県内の国営、県営の6つのダム計画について国松善次知事に、「県として抜本的な検討を加え、白紙撤回を」と申し入れました。知事は「専門家によく検討してもらう」と応えました。
申し入れでは、国の永源寺第2ダムは、昨年八月に近畿農政局国営事業再評価委員会が「計画変更」を求め、丹生ダム、大戸川ダムも、淀川水系流域委員会が今年1月に「ダムは原則として建設しない」と提言したことを指摘。国の計画するダムも「県独自の抜本的検討を加え、ダム計画の白紙撤回を求める方向で対処」を求めました。
また県営の北川第1、第2ダム、栗栖ダムでは、「ダムによらない治水対策はじゅうぶん可能」と指摘した国土問題研究会(理事長・奥西一夫京大名誉教授)の調査報告書を手渡し、計画の白紙撤回を求めました。
知事は、治水や琵琶湖の水位維持にダムが必要だとしつつも、「(河川整備に)環境や生態系の保全を組み入れるのは当然」だとのべたほか、琵琶湖の水位維持では「(瀬田川洗堰での)水位操作が魚や水草が水を必要とする季節まで考えているかという問題がある」という認識を示し、「生態系を回復させるためにどうするのか、最大限に知恵を絞ることがだいじだ」とのべました。
県議会では10日の一般質問で、森県議が、県内の6つのダム計画について下流の水需要や、100年に1度の降雨に対応する計画高水流量を見直すこと、ダムの効率の悪さや洪水を別の水系から導く導水トンネル工事の困難さ、財政リスクの大きいことなどを指摘して、いずれも見直すよう主張しました。
国松知事は、6つのダムについての再検討を見守るとし、ダムによる環境への負荷や水需要の伸びの鈍化などの適切な予測を前提にし、コストの縮減に務めるとしながら、「いずれも必要なダム」だとのべました。
森県議は、農水省の第三者委員会の永源寺第2ダム規模見直し意見や、淀川水系流域委員会の新規ダムを原則として認めない提言などをあげ、「全国のダム見直しの動きをどう見ているのか」と批判しました。
森県議は、国関係の3ダムについて、永源寺第2ダムは、受益農地の減少と経費増、自然環境に及ぼす悪影響を指摘。丹生ダム・大戸川ダムでは、下流の水需要の見直しが必要で、国土交通省自身、水の質の向上に課題を移していることをあげて、「計画の白紙撤回を求める方向で対処を」と求めました。
また3つの県営ダムでは、栗栖ダムの基本高水流量が100年に1度の豪雨を想定する過大な計画が基本になっているほか、計画変更で流域面積が当初計画の1割にも満たないきわめて非効率なダムとなったほか、直径12・7㍍、長さ2・7㌔もの巨大な導水トンネルを、ぜい弱な地質地帯に建設する問題を指摘、安曇川上流の北川第1、第2ダムでも、基本高水流量を適切に設定すれば、ダムによらない治水対策は可能だとのべました。