■自民、民主に公開質問状 「びわこ空港」や消費税、介護保険など(2000年9月18日)

 来月5日告示の参院滋賀補選を前に、日本共産党の川内たかし県常任委員(参院補選候補)は18日、自民党の山下英利氏、民主党の法雲俊邑氏(いずれも参院補選候補)に、県民の関心事での政策を明らかにするよう求めた公開質問状を手渡し、「全国注目の選挙にふさわしい選択に資するようにしたいと思います」と回答を要請しました。

                                     2000年9月18日
                  日本共産党滋賀県委員会
                                  常任委員  川内卓

 公開質問状について

 新秋の候、貴殿におかれてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

 さて、10月におこなわれる参議院補欠選挙は、6月に施行された衆議院選挙後初の国政選挙として、滋賀県のみならず全国的にも注目される選挙になろうとしています.一方で、補欠選挙ゆえの有権者の関心の盛り上がりに懸念を示す声も聞かれます。

 私は、県民の関心事に対する各陣営の政策を明らかにし、県民の選択を行ないやすくすることが、選挙に関する県民世論を盛り上げ、全国的注目にふさわしい選択を県民に求めることができると考えています.

 そうした観点から、今回、貴殿に公開質問状を提出させていただくことにしました.この結果はマスコミはもとより、しかるべき方法を通じて県民に責任を持ってお知らせしたいと考えています。

 各設問への回答は、240字以内でお願いします.なお各設問に対する私自身の考えは◎の欄で罫線で囲んで示しております。

 ぜひ、9月25日までにご回答をいただきますようお願いします。

 なお、貴殿からのわが党、あるいは私への公開質問もおおいに歓迎するものです。

 1 公共事業およびびわこ空港問題について

 公共事業の見直しを求める声は全国的世論となっています。

 自公保の与党3党は、8月28日に233件の公共事業計画を見直すと発表しました.

 これ自体は、公共事業見直しを求める世論を反映したものですが、年間、国・地方あわせて総額50兆円といわれる公共事業のなかで0.5%程度の見直しでしかないこと、公共事業の総額を見なおすという考えがまったく盛り込まれていないことなど、抜本見直しとは程遠い内容となっています.

 滋賀県の場合の公共事業見直しとして、県民がびわこ空港の白紙撤回を求めていることは各種の世論調査で明らかです.昨年の運輸省の空港についての見直しマニュアルでは、「事業採択されてから5年を経過してもなお着工されないもの」など4項目をあげています.昨年3月に黒野運輸省事務次官が「びわこ空港は国が助成してまで造る必要があるかどうか疑わしい」と発言して問題となりました.ここにはびわこ空港の場合は、事業採択さえされていないことに対する運輸省のきびしい考えが反映していることは明白です.

 しかし、県当局は「経済アセス」を実施した結果、びわこ空港の有用性が証明されたとして見直しの姿勢をまったく示していません.

 問(1)公共事業の見直しについて、基本的に見なおすべきかどうか、見なおすとしたらどういう基準が必要と考えておられるかお尋ねします

 ◎私は、公共事業の見直しは事業の採算、目的、環境の三つの角度から十分な吟味を行なうことが必要と考えています.

 また公共事業の見直しにあたっては、①年額50兆円の公共事業費の総額を縮減しくらし・福祉に重点化すること②2007年までの13年間で総額630兆円を使いきる「公共投資基本計画」を撤廃すること③日本中に海底トンネルやハブ空港、ハブ港湾をつくる五全総そのものを抜本的に見なおすことなどが必要と考えています.

 回答欄


 問〈2〉あなたはびわこ空港について、基本的に推進ですか、あるいは凍結、または白紙撤回ですか.その理由についてもお聞かせください.

 ◎私は、空港一般は交通の利便性を向上させるという点から認めるものですが、ことびわこ空港については、①滋賀県における交通の利便性、あるいは周辺における空港の整備状況などから現時点ではいらない②滋賀県財政の逼迫状況から大型公共事業は慎重にするべき③開港しても現在算定されているような需要予測は望めず、かつ航空業界の規制緩和路線で赤字必至である④貴重な里山の自然を破壊する問題などから、白紙撤回をするべきと考えています。

 回答欄

 2 消費税問題について

  7月14日にまとめられた政府税制調査会の中期答申では、消費税について「基幹税」と位置付けるとともに、「低い消費税率」の「検討」という形で、消費税率を引き上げる方向性を盛り込みました.森総理は、この税調答申について「結論的に大賛成」とのべ、実現に取り組む姿勢を鮮明にしました。民主党などからも、答申の方向に大筋同調する態度が表明されています。

 問(1)あなたは消費税率の引き上げについてどうお考えですか。また、福祉目的税化についてのお考えもお聞かせください.

 ◎消費税は大企業の負担はなく、最終的に消費者の負担となる最悪の大衆課税で、個人消費を冷え込ませ景気回復に逆行するので税率引き上げは反対です.まず食料品を非課税とし、税金の使い方の転換や大企業優遇税制の是正などで財政を再建して3%への引き下げ、さらには廃止へとすすめます。福祉目的税化は、現行福祉を維持するだけでも、消費税の大幅引き上げとなります.かつ国民には消費税の引き上げか、福祉の切り捨てかという悪魔の選択を強いるものであり、福祉目的税化は認めません.

 回答欄


3 金権腐敗問題について

 総選挙後、中尾元建設大臣(自民)の公共事業に絡む収賄事件、久世前金融再生委員長(自民)の大銀行からの利益供与と党費名目のヤミ献金事件、山本衆議院議員(民主)の架空の「政策秘書」での税金詐取事件など、頻発する政治家の腐敗ぶりに国民の大きな怒りがわき起こっています。


 問〈1〉腐敗の根源になっている企業・団体献金禁止についてのあなたのお考えをお聞かせください。

 ◎私は、こうした汚職、金権腐敗事件の根にある企業・団体献金を、ただちに無条件に禁止すべきと考えます.そもそも企業団体献金の禁止は、憲法違反の政党助成金に賛成する各党が導入する際に国民に公約したことです.現時点では、わが党以外の各党は政党助成金を得ながら、依然として企業・団体献金についても確保するという態度をとっています.このようなことは絶対に許せません。

 私はまた、真に実効あるあっせん利得罪(法)を制定すべきと考えます.

 回答欄


4 介護保険問題について

 10月からの一号被保険者にたいする介護保険料徴収を前に、利用者の不安が激増しています.県の調査でも県下市町村に寄せられた苦情は4~7月の4カ月間で計159件、開い合わせ・相談件数は計1,531件となっています.これらは認定や保険料に不満と不安が集中していることを示しています.

 「混乱なくスタートした」とした厚生省でも、問い合わせに対応するため、「Q&A」をつくり各自治体に送付せざるをえない状況です。「Q&A」でも厚生省が「収入が少なくても保険料は払わなくてはならないのですか」「生活保護を受けていても払うのですか」「何歳まで納めればいいのですか」などの設問を設けざるを得ないほど高齢者は切実な不安に直面しています.さらに来年1月から70歳以上の医療費の1割負担が実施されれば、不安に拍車をかけることは明らかです.

 問〈1〉保険料徴収をめぐる苦情の殺到に対して、あなたは改善の必要を認められますか.

 認められる場合、どの点を改善するべきと考えておられますか.とくに、住民税非課税者などの低所得者対策について、あなたはどう考えられますか。

 ◎私は、最小限の保障もないまま、高齢者から保険料をとりたてれば、矛盾の爆発はさけられないと考えます。10月からの保険料徴収を基盤整備など介護保険体制の確立するまで延期することです.生計費非課税の原則からいっても、最小限、住民税非課税の高齢者、低所得者からは保険料を徴収しない緊急措置をとるべきと考えます.

 また、自治体独自の保険料軽減措置等に対して、国や県は介入しないようにさせるべきです.

 回答欄

 問〈2〉利用料の減免制度を実施すべきと考えられますか。

 ◎私は、現行の利用料(10%)の軽減は介護保険を真に有効なものにするためにもどうしても必要と考えます.東京都が12区町村で4月分の利用料調査を行なったところ限度額の50%の利用といった結果です。これは利用料負担の重圧で利用が狭められていることを示しています.政府の「特別対策」である訪問介護料の3%への軽減措置を、新規の利用者もふくめ訪問看護、通所介護(デイケア)、訪問入浴などすべての在宅サービスに拡大することです.

 回答欄


5 農業問題について

 今年の生産者米価が昨年に引き続いて暴落し、滋賀県産「コシヒカリ」は60キロあたり16,329円、「キヌヒカリ」が15,151円、「日本晴」が14,673円(8月29日大阪自主流通米センター)と昨年同期からいずれも60キロあたり500円~600円も下落しました.

 農水省の発表による1999年産米の米生産費調査では、米60キロあたりの生産費は18,932円となっており、農家は完全な赤字生産です.

 しかも、「小売関係者は『在庫がたとえ適性水準の150万トンになっても、買い手の需給緩和意識は変わらない.ミニマムアクセス米も70万トン以上ある』と少々の過剰対策では価格の回復どころか、下落の歯止めすら見込めないとの見方をしめす」(『日本農業新聞』2000年9月)など、底なしの下落の様相を示しています.

 米価下落の原因は、①1995年以来294万トン(今年度さらに77万トン)のミニマムアクセス米の輸入を行なったこと②国による米価の下支えと需給調整の役割を大幅に狭めたこと③自主流通米の乱高下を防ぐ値幅制限すら廃止し、政策的な”米余り”をつくりだし、大スーパーなどによる買い叩きを推進してきたことにあります。

 問(1)米の暴落を防ぎ、生産費をつぐなう米価を保障して、農家の経営を守るために、あなたはどのような具体的な方策をもっておられますか。明確な回答をお願いします.

 ◎私は、近畿で唯一の米移出県である県内の農家がやってゆけなくて、国民が願う国産の農産物の安定供給も自給率の向上もないと考えます。

 私は日本の米を守るために、①300万トンの政府買入れと、政府買入れ価格を60キロあたり20,000円とする②自主流通米の値幅制限を復活する③ミニマムアクセス米の輸入制限を行なうとともに、輸入自由化を食い止めるためにWTO協定を改定することを主張しています.

 回答欄


 なお、回答はFAXの場合は、077-522-8282までお送りください.

 郵送の場合は、同封の封筒でよろしくお願いします。
              以上