■参院選滋賀補欠選挙にあたって(2000年9月11日)

 日本共産党滋賀県委員会は参院滋賀補欠選挙に向けての訴え、「日本共産党の勝利で、国民に犠牲おしつける自民党政治から、暮らし支える政治への転換を」を発表しました。

 訴えは、今回の補欠選挙の争点を、①自公保政権にたいする国民の怒りの審判を県民が代わって下す ②ゆきづまった自民党政治を国民本位の政治に変え、国民の暮らしを守る力を強めるかどうかと指摘。「日本共産党が勝利すれば、単なる一議席にとどまらず、自公保政権に痛打をあたえ、政治の流れを変える大きな力となるでしょう」とよびかけています。

 滋賀補選は、先の衆院選でさきがけ参院議員がくら替え出馬したことで欠員が生まれたため。日本共産党は党県常任委員の川内たかし氏(44)を擁立。自民党は元東京三菱銀行支店長、故山下元利衆院議員の長男、山下英利氏(47)、民主党は県連副代表で竜谷大学教授、法雲俊邑氏(52)が立候補を表明しています。

日本共産党の勝利で、国民に犠牲おしつける自民党政治から、暮らし支える政治への転換を
参議院滋賀選挙区補欠選挙にあたって、県民のみなさんに訴えます

   二〇〇〇年九月               日本共産党滋賀県委員会


 一、大企業・大銀行応援の森自公保政権と自民党政治に怒りの審判を

 県民のみなさん、10月5日告示、22日投票で参院滋賀選挙区補欠選挙がおこなわれます。すでに、日本共産党をはじめ自民党、民主党が立候補を予定しています。今回の参議院の補欠選挙は、滋賀県だけの選挙でその定数はわずか1名ですが、総選挙後初めての国政選挙として全国が注目しています。

 総選挙から2カ月余、わたしたちの暮らしはどうでしょうか。景気がよくならない、雇用も依然としてきびしいなかで、負債額1千万円以上の倒産件数が8月はついに19件(東京商工リサーチ調査)と過去最高を記録しました。いま稲刈り真っ最中ですが、農家は生産者米価の大暴落で悲鳴をあげています。国民みんなの願い――働きがいのある仕事、家族の暮らしが支えられる商売や農業、老後が安心できる社会保障が、森自公保政権と自民党政治によって踏みにじられています。

 自公保政権と自民党は、百貨店「そごう」への公的資金投入で、国民の大きな怒りをかったにもかかわらず、今度は日本債券信用銀行にも4兆7000億円の税金をつぎ込んでソフトバンクなどにわずか10億円で売り渡しました。日本共産党は、さきの臨時国会で、「一民間企業の乱脈経営の穴埋めになぜ国民の税金を使うのか」と追及し、大もとに大銀行の不始末の穴埋めに国民の税金をつかう「70兆円投入の枠組み」があることを指摘して、この枠組みそのものの再検討こそ必要であることを提起しました。

 また、日本共産党は早くから、国と地方あわせて「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円」という逆立ちした予算の使い方をあらため、社会保障と国民の暮らしを予算の主役にすえることを主張してきました。自公保政権と与党は、国民の批判に押されて「公共事業見直し案」で、中海干拓の中止などを盛り込みましたが、国と地方あわせて公共事業に50兆円という枠組みにはいっさい手をつけようとしません。一方、発足から5カ月余たった介護保険制度の矛盾が吹き出すなか、追い打ちをかけるように10月から65歳以上の保険料徴収がはじまります。さらに、70歳以上の医療費一割負担を盛り込んだ医療制度改憲案を秋の臨時国会で通そうとしているなど、高齢者への新たな負担増を押しつけようとしています。政府税調が消費税増税の方向を打ち出した中間答申について「結論的に大賛成」(森首相)とのべ、消費税増税に取り組む姿勢を明らかにしました。

 「沖縄サミット」では、基地縮小問題にふれることさえなくアメリカ言いなりの外交に終始しました。

 中尾元建設大臣の公共事業にからむ収賄事件、久世前金融再生委員長の大銀行からの巨額の利益供与と党費名目のヤミ献金事件、民主党の山本衆院議員が架空の「政策秘書」をおいて税金を詐取していた事件など、政治家の腐敗ぶりに国民は怒り心頭です。

 どの問題をとっても自公保政権と自民党政治が、国民の願いにこたえられないばかりか、あらゆる分野でゆきづまりを深刻にしています。いまこそ、自民党の悪政と対決し、国民・県民の要求を正面からとりあげて解決のために全力をつくし、自民党政治に変わる新しい政治の方向として「日本改革」を提案している日本共産党の躍進、勝利が求められているのではないでしょうか。

 日本共産党の一議席こそ、暮らし支える力を大きくする

 こうしたなかでおこなわれる今回の選挙は、定数1名の補欠選挙ですが、どの党が議席を獲得するかで、今後の政局に大きな影響をあたえます。第1に国民のきびしい審判にもかかわらず悪政を強行する自公保政権にたいする国民の怒りの審判を、県民が代わって下す選挙であり、第2に、自民党の悪政にきっぱりと対決し、ゆきづまっている自民党政治から国民本位の政治に変えていく「日本改革」を提案している日本共産党が議席をかちとり、国民の暮らしを守る力を強めるかどうかの選挙です。

 この選挙で日本共産党が勝利すれば、それは単なる数のうえでの1議席にとどまらず、森自公保政権に痛打をあたえ、政治の流れを変える大きな力となるでしょう。そして来年の通常の参院選での日本共産党の大きな躍進にひきつがれる1議席となります。

 選挙戦を「自民対非自民・非共産対共産」のたたかいと描き出す風潮があります。しかし、「非自民・非共産」というのは、1993年の細川内閣いらいの「連立」政治が示すように、自民党政治にかわって国民の暮らしをまもるものでなかったことは証明ずみで、すでに破綻している時代遅れの政治の流れです。国民と日本共産党の共同こそ、自民党政治から「国民が主人公」の政治に流れを変えることができます。実際に、野党第1党の民主党は、消費税増税の問題でも、大銀行支援に70兆円投入する問題でも、自民党とのちがいがありません。野党が自民党政治に対抗する力を大きくしていくためには、「自民党政治をこう改革する」という確かな方針をもっている日本共産党の議席がどうしても必要です。

二、国民、県民の切実な要求実現へ、日本共産党の重点政策

 県民のみなさん。

 日本共産党は、参院補選で、解決が求められている国民、県民の切実な願いにこたえるつぎの政策をかかげてたたかいます。

 (1)ムダなぴわこ空港建設計画の白紙撤回を

 滋賀におけるムダな公共事業の典型であるびわこ空港建設の計画を白紙撤回させることです。全国的に高まっている公共事業見直し世論のなかで、滋賀県でもびわこ空港建設計画の白紙撤回を求める声が大きくなっています。びわこ空港は、日野・蒲生が予定地域になって12年が経過しても見通しがたたないなど、運輸省の見直し対象以前の計画であり、ただちに建設計画をやめるべきです。また、国松県政は「経済アセス」によって必要性が高まったといいますが、費用面で建設費のごく一部しか盛り込まず、便益面では需要予測を過大に見積もるなど、「空港先にありき」の経済アセスではだれも信用しません。地元の地権者の同意がえられないことも明白であり、建設計画の白紙撤回しかないことは明らかです。

 日本共産党は、空港計画をやめさせ、県民の暮らしや福祉を応援する公共事業にもっと力を入れるようがんばります。

 県下の各政党のなかで、最初からムダな空港建設やめよと主張してきた日本共産党の国会議員を実現してこそ、空港建設にストップをかけられるのではないでしょうか。

 (2)安心して受けられる介護保険へ

 日本共産党は、四月から実施されている介護保険制度をより良いものにするために全力をつくします。国も県も「混乱なくスタートした」といっていますが、実際は大ちがいで、認定からはずれた人、利用料が高くて受けるサービスを少なくした人など、矛盾がいっぱいです。くわえて十月からは高齢者の保険料徴収がはじまります。こんなことになった大もとには、自民党政府が、介護にたいする国の負担を2500億円も削ってしまったことがあります。

 安心して介護保険を受けられるように、低所得者の在宅介護の利用料を軽減すること、住民税非課税の高齢者・低所得者の保険料、利用料を免除または軽減すること、サービス不足を解消し、認定制度を生活実態にあったものにすることなどが緊急に求められています。日本共産党は、これらの実現のために全力をあげます。

 (3)消費税の大増税許さず、食料品を非課税に

 景気回復のために大事なことは、消費税大増税の道でなく、ただちに食料品の非課税を実現することです。ところが政府は、消費税を国の税金の中心にしていくことをねらい、10%、15%にしようとしています。10%になれば年間4人家族で40万円もの負担が増えます。政府は福祉目的税にする考えもだしていますが、こんなことをすれば際限なく引き上げられることになります。

 日本共産党は、消費税の引き上げでなく、ムダな公共事業をやめ、大銀行への税金のつぎ込みをやめることを通じて財政再建をはかり、消費税の廃止をめざします。いま緊急に必要なことは、食料品への消費税をなくすことです。また、課税最低限の引き下げや外形標準課税などの庶民増税をやめさせます。これこそ、国民の暮らしを守る道だと考えます。

 野党の態度はどうでしょうか。民主党の鳩山代表は、「(消費税は)最低でも7%は必要」といい、先の総選挙では「課税最低限の引き下げ」を公約しました。これでは消費税の引き上げ賛成、庶民増税賛成という点で自民党と同じことになり、多くの国民の大増税ストップの願いにこたえられません。さらに民主党は、大銀行への税金投入問題でも、率先して「70兆円の税金投入」の仕組みをつくってきたのです。

 (4)米どころ・滋賀の米と農業をまもる

 滋賀県農業をまもるために、農業関係者、農家の方と力を合わせて全力をあげます。米どころの滋賀なのに減反は増え、米価は下がる一方で、せっかくの収穫時期を迎えながら農家のみなさんの気持ちは決して晴ればれとしません。その大もとに自民党の農政があります。国民の6割の食料を外国にたよる農産物の輸入自由化を強行し、家族経営を切り捨て、農業予算の半分をゼネコン優先の公共事業にあてる――サミット参加国でこんな国は日本だけです。

 日本共産党は、農業を国の大事な産業として位置づけ、食糧自給率60%をめざし、WTO農業協定の改定、主な農産物の価格保障などを実現し、家族経営を守り安定させるために全力をつくします。

 (5)企業・団体献金の禁止で汚職・腐敗の根絶をめざす

 政治家の汚職・腐敗事件が起きるたびに政府は反省の弁をのべてきながら、一掃されることなく何十年も繰り返されている自民党の汚職・腐敗事件が、こんどは野党にも及んでいることは重大です。日本共産党は、野党が一致して提案している「あっせん利得処罰法案」の成立を求めるとともに、汚職・腐敗の根絶のために、企業・団体献金そのものの禁止を要求します。

 ゆきづまった自民党政治を大もとから変える「日本改革」提案

 日本共産党は、労働者や中小企業・業者のみなさんをはじめ県民のみなさんとともに、当面の切実な要求実現のために、全力でがんばります。同時に、自民党政治があらゆる分野でゆきづまっているもとで、自民党政治を大もとからに変える「国民が主人公」の新しい政治打方向として、「日本改革」提案を示しています。
 日本共産党の「日本改革」提案は、第一に、国と地方あわせて毎年「ゼネコン型公共事業に50兆円、社会保障にはたった20兆円」、大銀行支援に70兆円という逆立ちした予算の使い方をあらため、社会保障と国民の暮らしを予算の中心にすえることと雇用や営業、環境など国民の暮らしを守るルールをつくることを柱とした経済改革への道を示しています。第二に、外交と安全保障では、安保廃棄を大目標にしながら、それ以前にも平和の道を切り開く外交をすすめ、核兵器を持ち込ませない日本にすることです。第三に、憲法をしっかり守り、政治と社会のゆがみをただし、憲法の平和的、民主的原則が花開く日本をめざしています。

 このように、日本共産党は、自民党政治を大もとから変える展望をもっている党だからこそ、当面の切実な問題でも解決の方向を明確に示すことができるのです。ここが、大銀行支援でも消費税増税でも、多くの点で自民党と共通点をもっている民主党とちがうところです。

三、国民と心の通う新しい政治をめざす日本共産党

 県民のみなさん。

 先の総選挙では、だれがつくったのかわからないようにして、「リンチ殺人事件」とか「暴力革命」「独裁」などと日本共産党を攻撃するビラが深夜とか早朝などに配られました。いまでは、これが、全国でも滋賀県でも、自民党と公明党、創価学会が一体になってやったことがはっきりしました。

 選挙は、それぞれの党と候補者がどんな政治をすすめるのか、どういう政策をかかげているのかを有権者に示して審判を仰ぐのが本来のあり方です。闇にまぎれて、ウソとデマで固めたビラをまくというのは日本共産党への攻撃であるとともに、選挙を汚し、自由と民主主義を踏みにじるものです。

 謀略ビラがいう「リンチ殺人事件」なるものは、戦前の暗い時代に戦争反対と国民主権をつらぬいた日本共産党を攻撃するために戦前の特高警察がでっちあげたものをそのままつかっているのです。しかも、このでっちあげは、戦後、政府によって誤りがただされて解決したものです。「暴力革命」とか「独裁」というのもまったくのデタラメです。日本共産党は、選挙で国会の多数をえて政治を変えていくことを方針としています。しかも、共産党の単独政権でなく民主的な連合政権をつくることを一貫して追求している党です。「火炎ビン事件」なるものは、いまから50年ほど前、共産党を分裂させた一方の側が、ソ連や中国のうしろだてで日本に持ち込もうとしたものです。

 国民多数の意思で一歩一歩政治を改革する日本共産党

 県民のみなさん。

 日本共産党は、党をつくって78年になります。民主主義を口にしただけで、ひどい迫害を受けた戦前の暗い時代に、日本共産党が主権在民、反戦平和の旗をかかげつづけたことの正しさは、いまの憲法にしっかり書き込まれたことで証明されています。また、政治を改革していく道筋についても、日本共産党は、社会の発展は一歩一歩階段を上がるようにすすむものであり、その階段を上がるかどうかは国民の合意で決めるものという立場で、日本の社会、政治、経済のゆきづまりを民主的に解決していくことを大方針にしています。

 きたるべき参議院補欠選挙で、総選挙にひきつづき自公保政権と自民党政治にノーの審判を下しましょう。そして、日本共産党の勝利で、国民の暮らし支える力を大きくしようではありませんか。

 県民の皆さんの大きなご支持ご支援を心からお願い申し上げます。