■早崎ゴルフ場断念 強権「リゾート構想」また破たん(1999年7月1日)
滋賀県びわ町と湖北町の早崎内湖干拓地にゴルフ場などを建設するリゾート計画について1日、県は県議会本会議で、「両町町長が計画を断念すると報告してきた。今後は申請を受け付けることはない」と日本共産党の森茂樹県議の質問に答えました。
問題のリゾート計画は、びわ、湖北両町とゼネコンのハザマ、リゾー卜開発会社のリゾートトラストが第3セクター会社を設立してすすめていた「リゾートアジュール琵琶湖」計画。県の琵琶湖リゾートネックレス構想にも盛り込まれていました。
同干拓地は生産性の高い良田で、農家の営農意欲も強い地域です。ゴルフ場建設では、年間を通じて吹く強い北西風で集落に農薬が吹きつけられ、琵琶湖の汚染にもつながると住民が強く反対。「ゴルフ場よりも福祉の施設を」の声も多く、計画は約10年間中断してきました。
県は1997年に、琵琶湖環境への影響などから、新たなゴルフ場計画は原則禁止とした副知事通達を出しました。この通達は、今後の建設には今年3月末までに地権者全員の同意を必要とするとしたため、無理な駆け込み計画や、地権者への同意強要などの事態が続出しました。
早崎リゾート開発では、この期限内に3人の地権者が同意せず、ゴルフ場建設の条件は満たされませんでした。ところが県は、両町などから「懇請があった」ことを理由に、期限を3カ月延長しました。これは県民からきびしい批判をうけるとともに、延長期限の6月30日が注目されていました。
「早崎ゴルフ場問題を考える会」の橋本健代表は、「これは県の断念宣言です。ひどい圧力に屈しなかった3人の未同意者には激励の声もたくさんありました。同意書に判を押した人からも撤回の動きがありました。計画断念は住民の良識の力です」と話しました。
久保田源太郎びわ町長と丸岡一至湖北町長は1日、連名で「大規模土地開発事前指導申出書の提出を断念」するとの声明を発表しました。このなかで、同計画は「県の琵琶湖リゾートネックレス計画の一環として推進してきたもの」だとのべ、今後の「県の指導と支援」を要請。また第3セクター開発会社の解散などについては構成企業と協議し、判断したいとしています。