■「常識の通る県庁に」横領職員の退職金問題(1998年7月28日)
滋賀県が公金横領の職員を処分せず、自己都合の退職として退職金約1400万円を支払っていたた問題で28日、稲葉稔前知事と国松善次現知事(当時の総務部長)に損害賠償を求めた住民監査請求を審査する県監査委が開かれました。違法支出の返還を求めている県職員組合の辻義則委員長が意見陳述しました。
辻委員長は、県の人事政策や公金管理のあり方、職場の相互チェック体制が失われている職員減らしが問われていると指摘。「不心得な職員の犯罪への怒りと、もみ消した県当局、直接の責任者による二重の犯罪への怒り」が請求の動機だとのべました。
また県職組がこれまで、カラ出張など不祥事の一掃に力をつくしてきたことにふれ、「市民の常識が通用する県庁をめざし、問題をあいまいにすることを許さず、県民の利益を守るために奮闘する」立場を表明しました。
問題となっているのは、今年3月、サラ金トラブルから県自動車税事務所主査が納付された税金を着服。県は処分も公表もしなかったことが今月9日、県職組の内部告発で発覚。
現総務部長、自動車税事務所長などは、約90件、326万円の「流用」を、また当時総務部長だった国松現知事は、業務上横領にあたると知りつつ処分せず、退職金を支払ったことを認めています。
国松知事は、「事件が公になれば税務秩序が乱れる」「一時借用で、すでに弁済された」と、違法処理を是正していません。
辻氏は、「公務員は犯罪を告発し、処分する義務があり、これらの弁明は、県庁が法律をじゅうりんしているとしか県民にはうつらない。事件が表に出なければ信頼が維持できるという考えは県民を愚ろうするもので、違法な処理で県民の信頼を決定的に裏切ったといわざるをえない」と指摘しました。