■「CO2削減に政策転換させよう」地球温暖化と琵琶湖で討論(1997年7月12日)

 日本科学者会議滋賀支部と琵琶湖の水と環境を守る会が12日、大津市の県立琵琶湖研究所で「地球温暖化と琵琶湖畔の生活」の市民学習会を開き、市民約60人が参加しました。

 学習会では、和田武立命館大学教授が講演し、「地球の温暖化で環境の激変をまねく前に、原因の二酸化炭素の発生量を大幅に削減するエネルギー政策の転換が求められる」と指摘。デンマークやドイツが風力発電など再生可能で多様なエネルギー源への転換を進めている現状を紹介。原子力発電所推進一本やりで二酸化炭素削減そのものには責任を果たそうとしていない日本を対比しました。

 県内で太陽電池を使った地域発電の住民運動をすすめている中川修治氏も報告し、「まだ出資額を回収できないが、自分たちがまず始めることからしか何も変わらない」とのべました。

 岡本巌滋賀大学名誉教授は、彦根地方気象台の観測記録から100年で約一度の気温上昇が確認できるとし、「琵琶湖の水温に影響を与えれば、湖底の溶存酸素減少で、リンが溶け出し富栄養化・汚濁を促進する」とのべました。

 会場からは、「危険な事態を多くの人に分かってもらうことが急がれる」「環境目標は決断すべき課題とするデンマークなどのとりくみは教訓的。琵琶湖の水質目標未達成もその姿勢の差では」などの意見が出されました。

 これらに和田教授は「国の政策を変えることで住民運動は大きな力がある。環境問題は深刻なだけに、民主主義を推進し社会全体を変える可能性がある。そういうときが来ている」と強調しました。