■琵琶湖の「巻き堤」建設見直しを勧告(1997年7月3日)

 滋賀の環境自治を推進する委員会(環境自治委員会、川崎義徳委員長)は3日、大津市の琵琶湖岸にある琵琶湖文化館を取り巻く堤防「巻き堤」(囲い堤)計画について、住民の申し立てを認め、「計画を見直し、この計画以外の方策を検討すること」と、稲葉稔知事に勧告しました。

 申し立てていたのは、日本共産党の吉原稔滋賀県議など県民9人で、昨年7月、県の計画は、琵琶湖の水質を悪化させ、ゼネコンの利益のための「究極の意味不明工事」だと中止を求めていました。

 巻き堤は、琵琶湖総合開発による水位低下対策として、琵琶湖中から立ち上がる形で建設された琵琶湖文化館を取り巻いて堤を建設する計画で、堤の中は水質悪化が予想されるため噴水と循環ポンプを設置し、これだけに2億1000万円をかける予定でした。

 環境自治委員会の審査結果は、「水質保全の観点から巻き堤計画を見ると、効果は不確定で、さして大きいものともいえないが、巻き堤を建設して必要になる諸設備は極めて大きい。計画には多くの疑問が残る」と指摘しました。

 さらに▽文化館は湖上に浮かぶ城として優れた景観だが、巻き堤は琵琶湖から切り離す▽護岸保持に巻き堤を設置する必要性はそれほど高くない、とも指摘しています。

 環境自治委員会は、住民の申し立てにより県事業の環境への影響を審査する機関で、昨年県が策定した環境基本条例にもとづくものです。「巻き堤」申し立ては委員会最初の案件でした。知事は委員会勧告に従う義務があり、「巻き堤」工事は中止にになります。