■「住民の力で琵琶湖を守ろう」琵琶湖総合開発でシンポジウム(1996年10月27日)
京阪神の水源として琵琶湖から新たな利水を引き出すことを目的にした琵琶湖総合開発が今年度で25年の工事期間を終了することから、「科学と住民の目で点検しよう」と26日、大津市で琵琶湖総合開発問題シンポジウムが開かれました。
これまで琵琶湖問題にかかわってきた滋賀自治体問題研究所や科学者会議、住民団体の「びわ湖の水と環境を守る会」が開いたもので、大阪や兵庫の水道関係労組や、開発を推進してきた水資源開発公団の人たちなど約70人が参加、意見交換しました。
シンポジウムでは、安本典夫立命館大教授らが「琵琶湖総合開発とは何だったのか」「琵琶湖の再生に何が必要か」などで報告しました。
安本教授は、「琵琶総の最大の目的は、ダム建設より安上がりな琵琶湖からの毎秒40㌧の新規利水にあった」と指摘。開発規制の新しい法整備を提案しました。
近畿水問題研究会の秋田雅史氏は、過大な水需要予測による過大投資が水道料金を押上げている現状をあげて、水利権の見直しを訴えました。
日本共産党の吉原稔県議は、琵琶総による環境破壊や漁業被害などをあげ、県の「ポスト琵琶総」の琵琶湖保全と、8カ所の巨大ダムなどの開発計画との矛盾を指摘。内湖の復元など琵琶湖を守る住民運動をよびかけました。
このほか、琵琶湖研究所の西野麻知子さんは、琵琶湖の底生動物の変化を報告し、琵琶湖の環境が危機的な状況にあることを、また滋賀大学の成瀬龍夫教授は「水質の悪化がすすんだことをみれば琵琶総計画の失敗は明らかだ」として、「県民参加の琵琶湖再生計画」を訴えました。