■琵琶湖保全立法を断念 知事が表明(1996年6月25日)

 滋賀県議会が25日開会し、稲葉稔知事は「ポスト琵琶総」(琵琶湖総合開発特別措置法終了後の対策)の取り組みなどで提案説明に立ちました。知事は「新たな立法措置を国に求めることは極めて厳しい状況にある」として、これまで「琵琶湖保全のための新たな立法が必要」としてきたことを事実上断念しました。

 琵琶湖総合開発は、下流府県に新たに毎秒40tの新規利水を確保することをめざし、日本最大の地域総合開発として25年間にわたり実施、今年度で終了します。この間に、自然環境の破壊がすすみ、赤潮や有害なアオコの発生、新たな水位の異常変動による農漁業の被害も発生しています。

 県は「琵琶総は治水や水供給の目的を達成したが、自然環境を破壊したマイナスの側面も否定できない」として、「琵琶総終了後の保全のための新たな立法が必要」と、ポスト琵琶総を検討。しかし、前蔵相の武村正義衆院議員らが「国に新たな財政負担を求めることは困難」と主張したことから、方向転換が模索されていました。

 この日の知事の提案説明は、「将来に展望の開ける余地を残した対応も必要」としつつも、「新規立法や補助率のかさ上げなどにとらわれることなく、琵琶湖の総合的な保全対策が近畿圏の重要なプロジェクトとして国の計画に位置づけられる枠組みだけは得られるよう努力したい」とのべ、琵琶湖保全の責任を国に求める立場を後退させました。