■もんじゅ事故 運転中止を(1995年12月13日)

 福井県敦賀市にある動燃(動力炉・核燃料開発事業団)の原子力発電所「もんじゅ」(高速増殖炉)がナトリウム火災事故をおこしたことで13日、日本共産党滋賀県委員会と同県議団は稲葉稔滋賀県知事に「未完成の技術のうえにたつ『もんじゅ』の運転の中止を」と申し入れました。

 申し入れは、①事故原因の徹底解明はもちろん、未完成の技術のうえにたつ「もんじゅ」の運転そのものの停止、②国に核燃料サイクルの一貫としての高速増殖炉政策の放棄を、③新型転換炉「ふげん」も運転の即刻中止、の3点を琵琶湖をもつ隣接県として、動燃と政府などに要求するよう求めています。

 高速増殖炉は、政府と電力会社が「夢の原子炉」として原発推進政策に位置づけてきましたが、冷却材のナトリウムは酸素や水と激しく反応し、火災の危険をはらんでいるほか、核反応の暴走の危険、補修・点検・整備が困難なことが指摘されてきました。日本共産党の申し入れは、今回の事故でその危険性が実証されたと指摘しています。

 県は11日、動燃にたいし県への事故の連絡が遅れ、適確な方法でなかったとして抗議しました。動燃は異常時の連絡では「プレス(報道機関)発表をファックスで連絡する」とし、今回は事故発生から約3時間半後の8日午後11時13分に、無人だった県消防防災課にファックス。県が求めていた職員への電話確認をしませんでした。

 滋賀県が原発の専門職員をもたず、住民へのヨウ素剤配布体制なし、事故の連絡方法でもあいまいにされているのは、科学技術庁や原子力安全委員会が原発の安全性を過大評価し、対策を原発から半径八ないし10km圏に限っているためです。