■開発優先で大震災にはお手上げ 滋賀の防災体制(1995年2月6日)
阪神大震災の教訓を生かし、防災対策を緊急に強めることは滋賀県でも重大問題です。日本共産党地方議員団は、これまでも各自治体に防災体制の充実を重要問題として要求し続け、今回も緊急に県や各自治体にきめこまかな対策を申し入れてきました。
滋賀は、兵庫と同じ特定観測地域(地震予知連絡会)にあり、活断層は主要21本、中規模を含め55本もあります。1909年のマグニチュード6・8の姉川地震で死者35人、重軽傷者649人、全半壊家屋3300戸の被害を出すなど、大規模地震が多発しています。
この地震に即応する観測計は彦根地方気象台のものだけ。県が3年前から京大防災研究所に分析を委託している地震計は6カ所。人口の多い大津中心部にはなく、速報体制もありません。今回の地震(阪神淡路大震災)も速報は彦根だけでした。
防火水槽は、全県で3688カ所、1年で100から150基が増設されていますが、うち耐震性の水槽は、守山の16カ所のほか、大津9カ所、甲西と山東各6カ所など計42カ所だけ。なかには耐震構造かどうかはっきりしないものも。県は必要性を認めつつも、1基(60㌧)で600万円かかるため、「琵琶湖の活用が考えられないか」とおよび腰です。
備蓄庫にいたっては、大津と草津だけ。大津市の倉庫は蛍谷の名神高架下のプレハブ小屋。高架が破壊されたときにどうなるかわかったものではありません。保存食の量は、人口28万の大津で1万食。1学区住民数の想定です。草津もわずか2500食分。
これらはまだましなほうで、県内の自治体は地震の対応マニュアルすらありません。
いっぽう、地震の危険度は急速に増大しています。大津市の湖岸域は、ほとんどが琵琶湖埋め立ての造成地。液状化対策は、県が第3次震災対策計画で調査はこれから。大津港やびわ湖ホールなど埋め立て造成が続いています。
さらに第二名神は、大津市内で60㍍から90㍍もの高架計画です。隣接する「原発銀座」の福井県など原子力発電所の安全性や避難体制の問題も避けられません。
県の防災対策は、リゾート開発やダム建設など巨大土木工事を住民の安全よりも優先してきたことを如実に示しています。