■いっせいに水草清掃 市民ら琵琶湖惨状みかねて(1994年10月2日)

 異常水位低下が続いている琵琶湖の湖岸で市民グループが9月25日、大量の枯れた水草の清掃大作戦をひろげました。大津市の膳所公園に約80人、守山市のなぎさ公園に20人など、全県で約200人が汗を流しました。

 滋賀県内の自然観察指導者連絡会やびわ湖自然環境ネットワーク、青年団体連合会など5団体がよびかけて実施したもので、この日、まだマイナス87㌢の低水位の湖岸でいっせいに清掃。

 異常繁茂してちぎれたり、水位の異常低下で枯れた水草は、湖岸に打ち寄せられて腐敗。このままでは、水位の回復時に、水質悪化の原因になりかねず、みかねた市民団体が、琵琶湖水草清掃実行委員会(委員長・竺文彦竜谷大学助教授)をつくって呼びかけました。

 守山市のなぎさ公園では、なぎさから黒く腐敗した水草が砂浜に約二〇〇㍍の長さに引き上げられました。彦根から参加した外村唯雄さん(62)は、「藻のひどいのにおどろいた。この汚れた水をみんなが飲んでいる。過去なかった水位の低下で枯れたのだろう。一人でも多くこの実態を見てもらいたい」と話していました。

 2日には近畿2府6県の自治体労働者350人が琵琶湖岸6カ所に分かれて、枯れた水草やゴミを清掃、浄水場などを調査しました。自治労連近畿ブロック協議会など4団体がよびかけたもので、行動のあと琵琶湖大橋たもとで集会、「節水型社会の構築をめざし、死滅の危機に直面している琵琶湖を守ろう」というアピールを採択しました。

 草津市の北山田漁港の湖岸では、約100人が1時間で軽トラック2台分のゴミを収集。高島町萩の浜では、まだ1㍍以上もなぎさ線が後退している浜辺で軽トラックいっぱいの水草ゴミを集め、アユの人工産卵場の人工河川を視察。「水位低下で生態系は大打撃を受けるのでは」と話し合いました。

 大津市の膳所公園では、清掃作業中の漁民が「上流も下流も琵琶湖を思う気持ちはいっしょやな」と語るなど、交流をひろげました。

 全体集会では、近畿水問題合同研究会の村上広造理事が「渇水の教訓を生かし運動をひろげ、全国渇水問題シンポジウムで政策提言したい」とあいさつ。

 滋賀県職組の辻義則委員長は、「マイナス1・5㍍水位を下げて自由に水を使う琵琶湖総合開発を前提に水を流しつづけた。これが琵琶湖の渇水の重要ポイント」と訴えました。

 集会アピールは、「国の高度経済成長政策と国土開発は、水源・水系の能力を超える水をダム開発に求め、水道事業は自己水源を放棄し水浪費追認の矛盾した立場におかれた。ダムにたよる水政策は異常気象にたいし無力。琵琶湖もダムにされようとしている。節水型社会へ抜本的転換する水行政を」と、国・関係機関に求めています。