■琵琶湖渇水について緊急提言(1994年9月21日)

 日本共産党滋賀県委員会は21日、深刻な琵琶湖の渇水をまねいた無謀な放流の原因となった瀬田川洗堰操作規則を凍結すること、琵琶湖総合開発の根本的見直しを求める「びわ湖渇水についての緊急提言―きれいな水の安定供給のために」を発表しました。

 党県渇水対策本部長の川内卓参院滋賀選挙区候補、県政策委員長の森茂樹県議候補、吉原稔県議団長が、滋賀県の岩波忠夫副知事に手渡しました。

 提言は次のとおりです。

琵琶湖渇水についての緊急提言
   ―きれいな水の安定供給のために


      一九九四年九月 日本共産党滋賀県委員会


 びわ湖観測史上、最高の低水位が進行している。9月16日に一定の雨がふり水位はわずかに回復したが、本格的な渇水期はこれからであり、安心できるものとはなっていない。異常低水位は自然環境と生態系に深刻な事態をひきおこし、これ以上の水位低下があれば、一部生物の絶滅の危険性を指摘する報道まである。

 びわ湖は本来、時間をかけてゆっくりと変化をしていくものなのに、「六〇年代のはじめから短期間にびわ湖の生物相のめまぐるしい変化が起こっている」といわれる。今回の大渇水はこうした危険な兆候に、一層の拍車をかけるものとなるだろう。異常低水位はびわ湖の死の湖化への危険を強めている。

 今回の渇水でまずあきらかにしなければならないのは、その原因である。

 近畿地建は6月から8月の記録的少雨を異常渇水の元凶としている。これは事態の本質をゆがめるものである。たしかに少雨の年であるが、異常渇水をより深刻にしたのは、近畿地建がマイナス1・5㍍までの利用を可能にした洗堰操作規則を制定し、それにもとづく放流をはじめたことにあるのは明白である。しかもその根拠になっている水利権が、過大であることは各方面で指摘されている。

 国と滋賀県は事態の重大性にかんがみ、きれいな水の安定供給をという近畿1千4百万人住民の共通の願いにたって、緊急につぎの手をうつべきである。

 ① びわ湖の死の湖化につながる、無謀な水ぬきを改める。下流の水利用はびわ湖が許容する容量のなかで考えるべきである。

 過大な水利権とそのうえにつくられた洗堰操作規則を抜本的に見直す。当面は92年3月制定の洗堰操作規則を凍結するように国に要請する。

 ② 水位低下の生態系にもたらす影響についてアセスメントを実施する。

 ③ 水位の回復期には新たな栄養源が流入し、びわ湖の環境悪化は著しくなると指摘されている。干陸化した地点での藻類や生物の死骸の除去、適切な浚渫など、いまからそのための対策をとる。

 ④ 瀬田川の河川維持用水を確保するためにも、関電宇治発電所への放流を中止または、大幅に制限するべきである。

 以上の緊急手段をとるとともに、抜本的にはびわ湖が許容する範囲内での水利用という観点から、節水型経済・社会の建設をすすめる。循環性資源としての水の特性を利用して、工業用水のさらに徹底した再利用化、「近い水」の活用、雨水の利用、節水器の普及、中水道の設置などの総合的な対策を講じて、びわ湖から毎秒40㌧の新規利用や、利用低水位マイナス1・5㍍、補償水位マイナス2㍍などというような琵琶湖総合開発計画を根本的に見直しをすることをあらためて要求するものである。