■琵琶湖で水草が異常繁茂(1994年7月21日)

 琵琶湖の守山市沖で、水草のコカナダモが異常繁茂し、数10haの湖面が黄色い浮島のようになっています。滋賀県は緊急に、漁船10せき、藻刈り船3せきで刈り取りを始めています。研究者は、「水温の上昇など一時的な気象条件によるものとは思えない」と琵琶湖の生態系の変化に警告を発しています。

 水草は守山沖の湖面に、幅200㍍、長さ2㌔以上にわたって浮かび、水鳥が舞い降り、浮き島ができたようです。県環境室では、「水面下にもひろがっており、どれだけの量があるか不明」としています。

 これまで異常繁茂は北湖に多く、今年の南湖・守山沖の異常繁茂は関係者を驚かせています。漁業者も刈り取り作業の近江環境事業財団も「去年とは比べ物にならない量」だといいます。

 引き上げられる水草の量は1日でダンプカー30台分にものぼり、野洲川廃川敷への埋め立ても追いつかず、果樹園に入れる交渉も始めます。

 コカナダモは毎年、琵琶湖各地で異常繁茂。漁船の航行に支障が出るほか、岸に大量に打ち寄せられて腐敗し、悪臭をまき散らします。今年も、守山沖のほか、北湖の尾上、新旭沖、南湖の雄琴沖でも異常繁茂しています。

 滋賀大学の鈴木紀雄教授(生物学)は、「水温が上昇する前から水草の量に驚いていました。繁茂の原因はわからないが、琵琶湖の生態系が劇的に変化し、不安定になっていることを示すものです。何が起きてもふしぎではない。今だけでなく、これからの調査が重要です」と話しています。