■国のお墨付き入札で談合情報 琵琶湖博物館建設(1993年9月7日)

 ゼネコンがらみの談合疑惑で滋賀県が琵琶湖博物館工事の入札を中止。あらためて公正な入札方式の採用が問われています。同時に、この疑惑は「県選出衆院議員の関与」がいわれ、政治と企業のきたない関係を断つ企業・団体献金の禁止が緊急に求められていることをしめしています。

 談合の疑いが出ているのは、草津市下物(おろしも)の湖岸・烏丸半島に総工費約230億円をかけて県が建設を計画している「琵琶湖博物館」。

 談合疑惑に県は、入札指名の14共同企業体、計42社に聞き取り調査をすすめ、6日の入札は中止しました。調査結果による談合の有無については発言を避けています。談合情報は報道機関に寄せられたものです。

 入札参加予定企業は、ゼネコン14社がそれぞれ地元企業2社とつくる14の共同企業体。中核になるゼネコン14社は、鴻池、竹中、大成、鹿島、熊谷、戸田、佐藤、飛島、大林組、日本国土、鉄建、大日本、前田建設、東急建設の各社です。

 91年度から今年8月までだけで、県の公共事業では、大林組の41億2800百万円をトップにゼネコン11社が約122億6400万円を受注しています(発注額)。

 企業別に見ると▽東亜・13億6300万円、▽飛島・12億9500万円、▽鹿島・12億5000万円、▽鴻池・11億8700万円、▽大成・10億5600万円、▽西松・9億7100万円、▽熊谷・7億9300万円、▽清水・1億6500万円、▽三井・5400万円、▽間組・200万円。

 このうち6社が今回の談合疑惑につながり、問題は重大です。しかも談合を指摘した情報では、「県選出代議士が談合の調整役を果たしている。受注を争った企業に、この代議士の東京事務所秘書が『天の声だ』ときめた」(各紙の報道)と指摘されています。

 今回の入札は、建設省が今年5月に入札の不正防止にと全国の自治体に指導した「意向確認型」の指名競争入札でした。これは、業者指名の前に参加希望を書類審査するもので、近畿圏で最初、県でも初めて採用した方式でした。

 今年6月県議会で、日本共産党の桐山ヒサ子県議は、 かつて知事であった武村正義氏(官房長官、さきがけ党首)が琵琶湖総合開発関連のゼネコンから政治献金を受けていた事実をしめし、「意向確認型指名入札も利権構造や談合疑惑を根絶する根本的な解決にならない」と指摘しました。

 同時に、一般競争入札を原則としつつ、大手独占や不良業者の参入を防止するため資本力、技術力、工事実績などによる等級区分の他、地元優先、中小企業優先などを配慮し、工事規模に対応して入札参加者を限定する「条件つき一般競争入札」方式の採用を求めました。

 県はこの提案を拒否して、「意向確認型指名入札で不正をなくせる」と胸をはりましたが、最初の入札で疑惑を突きつけられました。

 談合を指摘した情報では、共同企業体を組む段階ですでに落札企業が決まっているとしたほか、その際に政治家から、談合に反対した共同企業体幹部に脅しの電話がかけられたと指摘しています。