■開発規制強化、総量規制、保全法など提言。琵琶湖保全で検討委員会(1993年6月1日)
滋賀県が琵琶湖の環境保全制度の見直しを諮問していた琵琶湖保全制度検討委員会(委員長・松島諄吉大阪大学法学部名誉教授)は1日、土地利用の環境影響調査を計画段階でおこなうことや、汚濁物質の総量規制、国の財政支援や保全法要求、「環境受益者負担」などをふくむ提言を答申しました。
「『環境滋賀』の未来に向けて」と題した提言は、琵琶湖南湖底層の無酸素状態や、アオコや赤潮、富栄養化の進行、微小プランクトン大量発生など生態系の変化、北湖の溶存酸素減少などを「警鐘」だとし、さらに人口増、経済成長が「水質悪化をもたらす」と懸念を表明しています。
また現行の環境行政について▽土地利用制度は環境への配慮が十分されていない、▽工場など排水規制はこれ以上の効果を見込めない、▽情報公開や支援体制が十分でなく、環境保全実践活動がない、▽県の環境保全推進体制は機能を十分発揮していない、としています。
提言は、新たに▽土地利用計画には早期で上位の段階で環境への影響を評価し代償措置をとる、▽汚濁負荷の総量抑制へ排出者の費用負担や優遇、▽県民の自主的な環境保全活動を支援する第三者機関を提案しています。
また、施策の拡充・強化では、開発届出規模のひきさげ、公園・緑地基準・残置森林率の引き上げ、湖岸緑地や内湖の建設、西の湖保全事業、多自然型の川づくり、都市緑化や休耕田の県民農園への開放、森林信託制度などの支援、小規模事業所の排水規制、有害物質施設の監視強化、環境学習、県民実践活動の推進、「びわマーク」(環境商標)の利用もあげています。
財政の裏付けとして、排出者負担のほか、自治体の出捐金と県民の寄付金、環境維持管理費の受益者負担などで「琵琶湖環境保全基金」を運用。淀川流域全体の負担制度、国の財政支援、琵琶湖保全法も要望すべきとしています。