■水鳥を減少させる埋め立てはラムサール条約にそぐわない(1993年3月5日)

 滋賀県議会本会議で5日、日本共産党の吉原稔県議は、琵琶湖をラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録することに「基本的に賛成」と表明し、同時に、琵琶湖の水鳥の減少の原因と見られる湖岸のヨシ帯の破壊や湖の埋め立て計画などを中止するよう求めました。

 稲葉稔知事は「ラムサール条約登録は自然保護と琵琶湖の環境保全に有効」としながらも、湖岸の乱開発の中止にはふれず、また「水鳥は減少しているとはいえない」として、マガモの自然繁殖地となっている山東町の三島池や浅井町の西池は「指定しない」としました。

 琵琶湖の水鳥は、「県の鳥」のカイツブリが、昨年の県の調査で82年の1/5しか確認されず、またヒシクイやコハクチョウなども「激減」が指摘されています。

 吉原議員は、その原因に湖岸の環境破壊が考えられるとして、琵琶湖総合開発で琵琶湖の埋め立てがすすみ、さらに「なぎさ公園」や「琵琶湖ホール」など9・5haの埋め立て計画があることをあげ、「条約は漁業などの利用を禁止していないが、湖辺のコンクリート化、ゴルフ場計画、BG財団のカヌー訓練場などは、湿地の『賢明な利用』(第三条)にそぐわず中止させるべき」と主張しました。

 稲葉知事は議会提案で、琵琶湖をラムサール条約の指定湿地登録を国に申し出ることを表明しました。しかし「新たな法的措置をとる必要はない」として、6月に開かれる条約締約国会議に間に合わせたい考えを示しました。

 同条約は渡り鳥の保護や、湿地や湖沼などの自然環境を守るため、世界各国が協力して湿地の保全をはかることを目的としています。