■不急の土地に83億円ポン 借金財政の滋賀県(1993年2月19日)

 滋賀県は新年度予算案で、綾羽工業所有の土地を購入する83億9千万円を計上しています。この土地の使用目的は6割の面積が未定の先行取得です。この額は、全県の小口簡易融資の貸付枠70億円を上回るものです。新年度予算は、県民の借金である県債県のを前年度より40%増、173億円増を計上しており、高い「買物」に疑問の声が出ています。

 県が購入しようとする土地は、大津市におの浜の1万5千平方メートル。琵琶湖を埋め立て造成した土地で、地価はバブル崩壊以後、急下落。昨年一月の公示価格から半額にちかい急暴落中で、国土庁調査でも引続き「下落傾向」は変わりません。

 買収の目的は、このうち6千平方メートルが、まだ構想段階の「びわ湖ホール」(仮称)の駐車場。同「ホール」は、これから琵琶湖を2万平方メートルを埋め立てる計画です。当初計画には駐車場はありませんでした。土地を取得しても、埋立面積を変更する計画はありません。残る9千平方メートルは「公益公共的施設の整備」と、目的が確定していません。

 県は昨年秋、県土地開発公社に指示してこの土地を買い取る契約を結ばせ、新年度予算が成立したあと公社から買い取る計画です。

 土地の所有者は、綾羽工業と同社社長の河本英典・自民党参院議員らで、河本氏が支払いをせまられていた相続税八十三億五千万円と買収価格がほぼ一致することから、「県は河本氏のために買ってやったようなもの」という批判もでています。

 県は「価格は審議会の審査を経たもので、不当に高いものではない。今は土地取得に条件がよいとき」と説明しています。