■琵琶湖新規利水でアセスメントを、水需要を見直せ(1992年4月10日)
琵琶湖の新たな利水権設定について、滋賀県は「県の主張がとりいれられて歯止めができた」と説明していましたが、「歯止め」となる内容は下流府県に伝えられていないことが判明しました。
建設省近畿地方建設局は3月31日、琵琶湖からの大阪府、兵庫県の新規利水毎秒40トンを設定しました。これに同意した滋賀県は、地建とかわした「確認書」で、「毎秒27トンで歯止めができている」と説明してきました。
ところが、大阪府企画室、兵庫県企画部はともに「確認書の話は聞いていない。必要があれば毎秒40トン取水できるようになったと理解している」と主張。また、確認書をかわした地建も「27トンは当面下流府県が必要な量として見込んだもの。増やす必要があるときの滋賀県との意見交換の具体的な手続きは決まっていない」としています。
問題の「確認書」は、「1・新規補給水量は、下流が必要とする最小限度の水量(概ね二七トン)で開始する。2・琵総期間中の暫定的な取扱として、1の水量を増加させる場合には、事前に滋賀県に説明し、意見交換を行う」などとしています。
滋賀県は、これまで琵琶湖の新規利水の設定は、▽水資源開発公団工事が完了すること、▽琵琶湖総合開発計画が終了し、県民生活に支障がでないこと、▽南郷洗堰の操作規定がつくられること、を「水出し三原則」として、この条件が満たされない限り応じられないとしてきました。この原則が県内向けだけの空文句になっています。
日本共産党の吉原稔県議団長は、「県はこれまで、琵琶湖総合開発特別措置法が延長された5年間、27トンが際限のない水位低下の歯止めになると説明してきた。このこと自身、滋賀県が琵琶湖総合開発が終了していないのに新規利水を認めた不当なものだが、下流府県が確認書を『知らない』というのであれば、歯止めにはならない。
琵琶湖総合開発はまだ完成していない。水位低下を招き、琵琶湖の環境を破壊しかねない新規利水権設定に滋賀県が合意したことは絶対に許せない。
利水を優先するのではなく、水位低下の影響を科学的に調査し、琵琶湖の保全対策に力をつくし、下流府県の水需要を見直すことが必要だ。琵琶湖総合開発計画が開始されて20年たった今日でも毎秒40トンの水需要はないことは明らかだ。
かけがえのない琵琶湖を守るために全力をつくす決意です」と話しています。