■琵琶湖から新たに毎秒40トン 新規利水開始(1992年3月31日)
建設省近畿地方建設局は31日、琵琶湖総合開発事業の水資源開発公団事業が終ったことにともない瀬田川洗堰の操作規則を制定し、下流府県に毎秒40トンの新規利水を認めました。日本共産党県委員会と県議団は「琵琶湖を破壊からまもる運動をいっそう強める」と声明しました。
新しい琵琶湖・淀川の利水体系となる操作規則は、利用できる水位をマイナス1・5メートルまでとし、下流への供給は「その時時に必要とされる量」としつつ、「琵琶湖の水位維持に配慮する」ことが盛り込まれました。
実際の放流量は、琵琶総事業が終了するまでの向こう5年間は操作規則の運用として毎秒27トンとしています。
また、非常渇水時の操作については、マイナス1・5メートルを下回る場合は、「建設大臣が関係府県知事の意見を聞いて決定する」としました。
当面の供給量を毎秒27トンとしたのは、流量がある場合は取水してもよいという1987年から認めている「暫定豊水水利権」を常時取水可能にしたもので、近畿地建は「当面の水需要をまかなえる量」だとしています。
琵琶湖総合開発事業は72年にスタートし、20年の期限が終る91年度末になっても琵琶湖周辺の関連地域整備事業が残り、さらに5年間延長されました。
中川和雄大阪府知事は「毎秒40トンの水利権が許可され、待望の安定取水ができるようになって感無量だ。開発された水を無駄にすることなく合理的な水利用をすすめたい」と述べました。
稲葉稔滋賀県知事は「操作規則でマイナス1・5メートルにならないことが明記され、上下流府県でつくる琵琶湖・淀川水質保全機構の設立見通しがたったので水供給に応じた」と話しました。
建設省近畿地建が毎秒40トンの新規利水を認めたことで、琵琶湖の環境を守る運動はいっそう重大性を増してきました。