■21世紀に部落差別を持ちこさない(1992年3月21日)

 滋賀県大津市は19日、同和対策局を廃止する市事務分掌条例改正案を原案通り可決しました。同和事業の最後の法とされてきた地域改善財特法の趣旨にそって、市の同和事業を一般施策化するものです。

 同和事業長期計画の事業は99・9%が完了、残る0・1%も本年度末には完了の見込みです。対象地域6地域のうち、3地域で一昨年来、住民の手による「完了祭」が行われています。解放同盟大津市協からも、一般施策とは特別な同和事業を続けることには「線びき行政」だという批判が出されていました。

 残る国や県の事業の受け皿と、「激変緩和」の暫定処置として、企画部に地域振興室をもうけ、教育委員会同和教育指導課を残します。

 同市はすでに1987年に「地区住民の生活状況は改善向上され、長期計画に計上した住環境の改善を中心とした各種事業は一部をのぞきほぼ完了するなど、全体で93%をこえる進捗率」という現実認識にたって、「法失効後は一般対策へ移行していく」としていました。

 日野町では同和対策課が廃止されました。同町の同和事業は、1971年の同和対策事業長期計画以来の事業をすべて完了しました。町が同和行政の終了を宣言することができた背景には、対象地区住民の「21世紀に差別をもちこさない」運動の前進がありました。

 町のおこなった住民意識調査では「特別施策としてでなく、より豊かな一般施策へ移行すべき」「特別施策は廃止すべき」が合わせて75・6%に達し、「継続実施すべき」の6・1%を大きく上回りました。

 昨年11月の住民による「完了祭」では、「地区は見違えるように変貌し、完了を迎えることができました。この喜びを町民とともに分かちあい、同じ町民として、同じ施策の中で苦楽を共にする決意です」というアピールも発表されました。

 県内でも、同和事業が利権あさりにの的になってきた事例は多いなかで、同町では、同和事業促進協議会を組織し、徹底した話合いをすすめ、自立をめざす同和事業の推進と、不公正が入り込まないようチェック機能も持たせてきました。

 「解同」の暴力・糾弾路線の持込みを許さず、地区住民の自立を促進し、部落差別を21世紀にもちこさない運動は、住民ぐるみの運動の力です。そして、その中心になって活動した全解連支部の積極的な役割は、町同和推進協議会の答申でもふれています。