第9回NPT(核不拡散条約)再検討会議がニューヨークの国連本部で4月26日から始まった。
この日、国連横のハマーショルド広場には、633万余筆の「核廃絶」を願う世界の署名が積み上げられ、1万人以上が参加する大パレード、大デモンストレーションが繰り広げられた。
このほか、各地で署名活動や集会、国連傍聴、学校訪問などもとりくまれた。「核兵器のない世界のための国際行動デー」である。核兵器禁止条約の交渉をただちに開始せよを求める巨大な行動だ。
この1万人以上の行動には、日本から参加した1058人の代表団が参加している。滋賀県の12人も参加している。(写真上)
日本からの1058人は、原水協、全労連、女性団体、宗教者団体、若者、医療関係者など。滋賀県は、民医連、自治体労働者、新婦人、民商、非核の会、民青同盟、平和委員会が参加した。
ハマーショルド広場で開かれた「署名積み上げ集会」。ニューヨークの各地でとりくまれた署名行動で寄せられた署名とともに、日本から運ばれた署名が積み上げられた。633万を超えた。
集会には、潘基文・国連事務総長のメッセージが寄せられ、紹介された。
「この要請は世界中の無数の市民の署名を受けたものだ。行動計画をいつ、どのように実践するか、会議で示さなければならない」
力強い、核兵器廃絶の具体策を各国に迫る、決意に満ちたものだ。
翌27日。国連本会議場で、「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」がオーストリアのクルツ外相から発表された。核兵器の全面禁止を求めたものだ。159カ国の賛同を得ての提案である。過去最多の国の賛同である。
この提案は、5月22日の会議最終日に向けて論議される。しかし、唯一の被爆国、日本の岸田外相は、核兵器の廃絶を求めなかった。
「保有国と非保有国の協力を伴う実際的で具体的な措置を」
と言うだけだった。世界の人々をいつまで失望させ、怒りを浴び続けるのか。
29日、NPTニューヨーク行動ボストン訪問団の45人は、ハーバード大学や市内の高校を訪ね、核被害の実態や平和の訴えをおこなった。
滋賀県の平和委員会・木村晨二事務局長と西野明常任理事の二人が参加し、3班に分かれ高校を訪問した。
西野さんが訪問団長として訪れたヒンガムハイスクールでは、120名の学生が真剣な表情で訴えを聞いてくれた。
「戦後、日本は独自の道を歩んできたと思うが、子孫に残したい日本の良いものは何か?」
という質問が出された。西野さんは
「憲法9条です。日本は世界に向けて軍隊を持たないと誓いました。武器を持たないことこそ、戦争を起こさせない正しい道であると、非常に重い決意をしたのです。9条こそ、引継ぐべき大切なものです」
そう答えた。すると、いっせいに大きな拍手がわいた。この率直で、熱烈な反応には、西野さん自身もびっくりしたようだ。
ヒンガムハイスクール訪問に先立って訪れたハーバード大学では、平和活動家のガーソンさんが
「昨日、安倍首相がここ(ハーバード大学)で日米共同宣言を発表した。今日、みなさんがその安倍語録の浄化に来てくれた」
と歓迎してくれた。28日に安倍首相が、受け狙いのジェスチュア―つき台本原稿で、対米従属の屈辱の姿をさらし、「戦争立法」を約束したのだ。
2つの日本が、同じ場所で、それぞれの日米関係の展望を述べたのだ。代表団は、「浄化」の役割を立派に果たした。
5月8日、核軍縮を討議する主要委員会議長は、最終的合意文書の草案を各国に配布した。
まだ草案に過ぎない、とは言える。
草案は、締約国の過半数が核兵器禁止条約など核軍縮に法的な枠組みが必要と確信していると述べ、、期限を切った核廃絶に言及した。
核兵器禁止条約による、期限を切った核兵器の廃絶! NPT会議の草案に、初めて言及された決意である。